橘杏咲【声優図鑑 by 声優グランプリ】

橘杏咲「専門学校で自信を失った時、『嬉しい日記』で乗り切りました」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

橘杏咲【声優図鑑 by 声優グランプリ】

キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。

今回登場するのは、『勇者が死んだ!』トウカ・スコット(幼少期)、『星中バスケ部 オレンジガール ふきげん男子が特別コーチ!』の桜井風羽役などを演じる注目の新人声優、橘杏咲さん。声優を目指したきっかけ、小中学生の頃に夢中になった軽音楽部のエピソード、休日の過ごし方など、まだ知らない橘さんの素顔に迫りました!

橘杏咲【声優図鑑 by 声優グランプリ】

橘 杏咲
たちばなあずさ●10月12日生まれ。東京都出身。アイムエンタープライズ所属。主な出演作は、アニメ『勇者が死んだ!』(トウカ・スコット<幼少期>)、『BLEACH 千年血戦篇』、ボイスコミック『星中バスケ部 オレンジガール ふきげん男子が特別コーチ!』(桜井風羽)ほか。

オフィシャルサイト:https://www.imenterprise.jp/profile.php?id=172
Twitter:https://twitter.com/anzusaku1012

★橘さんの手書きプロフィール公開中!
https://ch.nicovideo.jp/seigura/blomaga/ar2163756

中高6年間の軽音楽部でアニソンを歌唱

――声優デビューされたばかりで、橘さんの素顔を知りたいファンの方は多いと思います。まずは、幼少時にどんな子どもだったのか教えてもらえますか?
ボールを投げるのが好きな活発な子どもでした。この頃の将来の夢はアナウンサー。家族にずっと話しかけているほどお喋りが好きだったので、お母さんから「アナウンサーになったら?」と言われて(笑)。赤ちゃんの時、喋り始めるのも早かったみたいです。

――では、学校の部活でもそちらの方面へ?
それが、放送部とかには入らなくて、中高一貫校でずっと軽音楽部。なので、バンドのMCではお喋り好きが活かされていたかもしれません(笑)。

――軽音楽部のどんなところに惹かれて入部したんですか?
アニメ『けいおん!』を見たお母さんが、「あなたと同じ名前の子がいるわよ。楽しそうだし、やってみれば?」と言ってくれて。小さい頃から、お母さんの言うことにハズレはない……っていう印象があったので、素直にやってみようかなと。6年間、ギターボーカルを担当してました。ドラムもいいかなと思ってたんですけど、ボーカルをやりたい子が他にいなくて。

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――ということはギターも歌も得意なんですね。どんな曲の演奏を?
4人組のガールズバンドだったんですけど、私を含む2人はアニソンが好きで、あと2人はそうではなかったので、アニソンと邦楽を半々くらい。アニソンは『けいおん!』の「Don’t say “lazy”」とか、『銀魂』の「修羅」とか。邦楽は、the peggiesさんのようなガールズバンド中心。他に、KANA-BOONさんの「ないものねだり」のように、アニソン好きと邦楽好きが一緒になって楽しめるような曲もありました。

――自分たちで曲選びを?
そうですね。1人2曲ずつ持ち寄って、ここから厳選しよう!と。楽器は全員初心者だったので、どの楽器もそこまで難易度が高くないような曲を選ぶのは、けっこう大変でしたね。

――お喋り好きの一面が活かされたライブのMCは、きっと上手だったのだろうなと想像できます。
どうでしょう(笑)。でも人前に出るのは嫌だなとか、恥ずかしいとかいうのはなくて、いつものように喋って、「行くよー!」と客席を盛り上げるのは楽しかったです。小さい頃から習い事でミュージカルをやっていたんですけど、その頃は人前に出るのが苦手で。誰かに会うと、おばあちゃんやお母さんの後ろにスッと隠れるような子だったんです。きっと軽音楽部で少しずつ慣れたんだと思います。

――アニソンが好きということは、アニメもよく観ていた?
中学2年の時に『銀魂』を観てからアニメにすごくはまって。『ご注文はうさぎですか?』とか、きらら系のアニメをよく観てました。可愛いキャラクターが好きで、『銀魂』も、かっこいいキャラクターがいっぱいいる中で神楽ちゃんがいちばん好き。人生初めての“推し”でした。2018年には、アニメ好きの友だちから誘われてコミケにも行きました! 朝早くに家を出て、人が多くて大変だったけど、楽しかったですね。

――ミュージカルはいつから習っていたんですか?
小学3年生から6年生まで。人前に出るのが苦手だったし、メインの子たちの後ろで歌って踊るという感じで、ひっそりと。家族で劇団四季とか東宝ミュージカルを観に行くことが多かったので、その影響もあったと思います。観劇はその頃からずっと好きで、中学1年生の春、どうしても劇団四季の女優さんの舞台を観たくて、ひとりで京都に行ったことも。今でも月に2回は観劇しています。

橘杏咲【声優図鑑 by 声優グランプリ】

アフレコ収録での挨拶はガチガチ

――歌を歌うのも聴くのも好きだったんですね。声優への興味が芽生えたのはいつ頃ですか?
高校の頃、自粛期間に時間があったので、今まで観ていなかったようなアニメをたくさん観たんです。『僕のヒーローアカデミア』みたいなジャンプ系とか、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』とか。それで、中学の頃に観たアニメの声優さんが、他の作品にも出ているのを観て、興味を持って。それからは早かったですね。お母さんに相談して、すぐに日ナレに入りました。それまでミュージカルや観劇でお芝居を触れてきた経験も大きかったと思います。

――日ナレではどんなことを学べたと思いますか?
人前でお芝居をするのが恥ずかしいっていう壁がまた出てきてしまって、なかなか感情を開放することができず……。「基本はできてるけど、その先に進めていない」とよく言われていました。でも、自分のマイナス面ばかりを気にしていたら、自分のいいところに向き合えていなかったと気づいたんです。自分で作った「嬉しい日記」に、その日に褒められたことや自分の強みを書くようになったら、どんどんお芝居が楽しくなりました。

――日記に書き込むうちに、自分の強みがわかってきたんですね。
はい。中高生の頃に「よく通る声だね」と言われていたのが、日ナレに入ったら自分より声が通る子がいっぱいいて、声質に対する自信を失っていたんです。でも、「声を高く張った時にスパンと抜ける」と言ってもらえたので、それを日記にメモしたり。お芝居も、数を重ねるうちに緊張がとけて。「お芝居が等身大でいいね」と言われたことも日記に書いてました!

――積極的に学ぼうという姿勢が伝わってきます。
やるからには全力で!という気持ちで頑張りました。

――声優になったばかりの頃のお仕事で、印象に残っているのは?
初めての現場が『BLEACH 千年血戦篇』でした。まだ台本の持ち方も分からない状態で、ガヤなのにマイクに寄りすぎて「もっと後ろでいいよ」って言われてしまって。同世代ではない先輩方と接することも新鮮で、どんなお話をすればいいんだろうと……。今でもガチガチのまま「おはようございます」と挨拶するのがやっとで、挙動不審になっちゃいます(笑)。もっと積極的にお話ができるようになりたいです!

――少しずつ緊張がほぐれるといいですね。先輩方から話しかけられるようなことは?
ありました。『勇者が死んだ!』でトウカの幼少期を演じさせていただいた時、監督さんから「イメージが湧かないセリフがあったら、トウカ役の加藤渉さんにお手本を見せてもらったら?」と言われて。その後すぐに「このセリフお願いします!」と加藤さんにお願いして、見本を見せてもらったんです。そのおかげでイメージがしやすくなって。心強かったですし、「素直に頼めるのはいいことだよ」と加藤さんから言われて嬉しかったです。

――先輩からの褒め言葉は自信につながりそうですね。今、お芝居で大切にしているのはどんなことですか?
キャラクターの声を最初にイメージすることが多かったんですけど、そうすると枠にはまったお芝居になってしまって、上手に表現できないと思うことが多かったんです。なので今は一旦その考え方を外して、キャラクターの内面と今の自分を擦り合わせて、役に寄り添うことを大事にしています。

――役に寄り添う。トウカの幼少期ではどうでしたか?
トウカはフトモモフェチっていう変態気質だったので、「なんでフトモモが好きなんだろう」と考えてみたり、「私も可愛い女の子好きだしな〜」と共通点を探したりして(笑)。
「ん?」というセリフひとつでも、今のは下心アリだったのかも……って反応の仕方を考えたりしていました。

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「この役は杏咲にしかできない」と言われる声優に

――プロフィールによると、イラストを描くのが趣味だそうですね。
人の似顔絵を描くのが好きです。リアルというより、ゆるいイラストですけど、その人の特徴をとらえるのが好きで。友だちの誕生日や、会話のきっかけ作りに描くことが多いですね。

――声優さんの似顔絵を描くこともありますか?
あります! 同期の井藤智哉さん、結川あさきさん、照井悠希さんは仲が良いので、ほぼ自己満足ですけど「せっかく描いたからあげる」という感じで(笑)。このメンバーで一緒にゲームをすることが多いので、ちょっと疲れたな〜っていう時にヒマつぶしで書いて見せてみたら、「めっちゃいいじゃん!」ってみんな喜んでくれました。

利根健太朗緒方佑奈の検証TV!』という番組に出させていただいた時も、「描きました〜」とお2人に渡ししたら、番組でも取り上げてくださって。

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――たしかに会話のきっかけになっていますね! イラストは以前から好きだったんですか?
アニメにはまってから自分でもお絵描きがしたくなって。可愛い女の子を自分で描いて、「えへへ〜」と眺めて満足する……みたいなことを中学生の頃からやってました。中には、表に出せないようなひどいイラストもありますけど(笑)。

――じゃあ、お休みの日はそんな感じでインドアが多い?
昼間は友だちや家族とショッピングやご飯に行ったりしてアクティブに過ごすことが多いですね。夜になったらみんなでゲームをしたり、時間があればiPadでお絵描きをしたり。最近はみんなで『雀魂‐じゃんたま』っていうゲームをすることが多いですね。気づいたら朝に……なんてことも(笑)。あとは、高校の時の友だち10人くらいで通話をつなげて、『Among Us』っていうゲームで遊ぶことも多いですね。

――声優さんとリアルで出かけることも?
同期の子たちとは、この間も一緒に『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』という映画を観に行きました! 楽しかったです。4人で出かける時もあるし、お洋服を買いに行くこともありますね。

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――これから声優としてどんなことをしていきたいのか教えてください。
お芝居をもっと上達させて、「この役は杏咲にしかできない」と言われるのが目標です。演じてみたいのは、ヒロインはもちろんですけど、ヒロインの横にいる、ちょっと報われないけどみんなから愛される幼馴染みたいな役。そういう役を私自身が好きになることが多くて、いつか演じてみたいです!

――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
まだ声優として第一歩を踏み出したばかりで、右も左もわからないことが多いのですが、皆さんに知っていただく機会を増やせるように、少しずつ経験を積み重ねていきたいなと思います。これからいっぱい頑張るので、応援よろしくお願いします!!

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【声優図鑑】橘杏咲さんのコメント動画

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

撮影=石田潤、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」

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