月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

月城莉奈「“表現する”声優は作り手の一人。声の演技で人の心を動かしたい」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。

今回登場するのは、『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト』のカノ・クランズ役、『明日ちゃんのセーラー服』田辺美星訳などを演じる月城莉奈さん。アニメに惹かれる理由や、YouTubeで配信するゲーム実況のこだわりなどを聞きました。今だから言える10代の頃の黒歴史も!?

月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

月城莉奈
つきしろりな●2月25日生まれ。静岡県出身。スタイルキューブ所属。主な出演作は、アニメ『お兄ちゃんはおしまい!』(伏見のどか)、『明日ちゃんのセーラー服』(田辺美星)、『からかい上手の高木さん3』(音無)、ゲーム『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト「Project N-EXTREME」』(カノ・クランズ)ほか。

オフィシャルサイト:http://stylecube.jp/talents/rina/index.html
Twitter:https://twitter.com/TsukishiroRina
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCyBQRWwJOF3MJY9lEn-GwbQ

★月城さんの手書きプロフィール公開中!
https://ch.nicovideo.jp/seigura/blomaga/ar2167103

作り手の一人として、演技で人の心を動かせたら

――月城さんは美大出身で、当時はアニメーションの作り手に憧れていたとか。
子どもの頃からアニメが好きだったんですけど、「この涙の流し方はどうやって描いてるんだろう」とか、アニメの表現自体に目がいくほうで。絵を描いて動かす技術を勉強したくて、美大では動画や演出の勉強をしていました。

――どんなアニメから影響を受けたんですか?
「アニメーターってすごいな」と思ったのは、高校生の頃に観た、京都アニメーションさんの『Free!』。水の表現が綺麗で、観ているだけで自然と涙がこぼれてきたんですよ。その制作の現場に少しでも触れたくて、夜行バスで、実家の静岡から鳥取まで一人で行って、聖地巡礼もしました。京アニさんって実際の風景と映像のシンクロがすごいんです。なので、モデルになった学校のプールや、主人公たちが住んでいた家の実物を1枚1枚撮影して、スクラップブックを作っていました。たぶん実家のどこかにあると思うんですけど…。

月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――そもそもアニメを観るようになったきっかけは?
あんまり外で遊ぶ子どもじゃなかったので、家の中でできることといえば、アニメとゲーム。気づいたら観てました。小学生の頃によく観ていたのは『ひぐらしのなく頃に』。トラウマになるような残虐なシーンもあって、心をとらえて離さないアニメの力を感じたし、日常のターンから夜になるとパキッと豹変する声優さんの演じ分けもすごいなって。声優という職業を意識したのも、この作品が初めてでした。

――作り手に憧れながらも、声優になるために一歩踏み出したんですね。
私にとって声優は憧れで、なりたくてなれる職業じゃないと思っていたし、大学生から目指すには遅いなって思っていたんです。でもアニメを観ているうちに、声優になりたい気持ちのほうが強くなっていっていきました。今は、「表現する」ということに関しては、作り手と同じだと思っていて。声の演技で人の心を動かすようになりたいなと思っています。

月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

髪型や洋服をキャラクターに寄せて仕事現場に

――美大時代に、今の事務所のオーディションに合格したとか。声優としてデビューしたのは、どの作品ですか?
初めてオーディションに受かって出演したのは『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト』。ゲームのナビゲーター役だったので、実際にゲームセンターに行ったら、本当に多くの人が自分のキャラクターを使ってくださっていて。いろんなところから自分の声が聞こえてきて、感極まって泣きそうになりました。

――セリフの量もあって、実際のアフレコでは緊張されたのではないかと。
「判断は迅速かつ確実に」みたいな、普段はあんまり言わないようなセリフが多かったので、絶対に噛んじゃいけないって意識しながら、滑舌に気をつけていました。何度も口ずさんで練習したんですけど、マイク前ではやっぱり緊張して。難しいセリフは何度も録り直して、うまく言えた時は「できた!」っていう達成感がありました。

月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――普段、役作りで工夫していることがあれば教えてください。
自分をなるべくキャラクターに寄せて、仕事現場に向かうようにしています。たとえば、自分の髪型や洋服をキャラクターに寄せてみたりとか、キャラクターが好きな食べ物を食べてから収録に向かうとか。以前、演技のレッスンで先生から、声だけではお芝居が軽くなってしまうから、全身で演技したほうがより自分らしく表現できる、と言われて。それを今でも心がけています。

――映像作品の他に、『キミに贈る朗読会』にもたびたび出演されていますね。
もう何十回も出演させていただいてます。自分のファンでいてくださる方と初めてお会いしたのも、このイベント。12月にクリスマス公演、2月にバレンタイン公演など、季節によってテーマが変わるんです。ステージと客席の間は1mあるかないか…っていうくらい距離が近いので、自分の演技をリアルタイムで見てもらえるし、みんなの顔を間近で見られるのは新鮮で楽しいですね。

自分の言葉で話せる訓練を雑談配信で

――他にもグッズ販売やYouTube配信などをされていて、自己表現の幅が広いなと感じます。
グッズ販売は、1年前くらいに、1日の終わりにみんなで乾杯できるようなグラスを作りたいなと思って。YouTubeの配信終わりの挨拶が、「月城」にかけた「0246(おつしろ)」なんですけど、それをブランドにしたら面白そうだなと。私自身はお酒が飲めないんですけど、ファンの方に使ってほしくて。今度はアクスタを作りたいっていう夢もあります。地元が静岡なので、静岡にご旅行に行かれた際に、私のアクスタを持っていってもらえたら里帰りみたいになるなって(笑)。

――一緒に静岡巡りができますね! YouTubeはどんなきっかけで始めたんですか?
コロナ禍に今の事務所の研修生になったので、なかなか人前に出る機会がなくて。YouTubeならみなさんと交流できると思い、大好きなゲームの配信を始めました。内向的な性格なので、最近は、おしゃべりで緊張するのを克服するために、雑談配信も始めました。人前に出ても自分の言葉でちゃんと話せるように、訓練したくて。

月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――ファンの方との交流で勇気づけられそうですね。
ファンレターをいただくことがあるんですけど、ありがたいことに、「○○の資格を取ったよ」とか「引越しして心機一転頑張ってます」みたいな報告をいただくことがあって。「僕たちが頑張れるのは、りなむん(月城さんの愛称)のおかげだよ」っていう言葉を見ると、いつも励まされます。私の活動が誰かの頑張りになって、その頑張りが私にとっての頑張りにもなっているなと思いますね。自分の殻を破れるようになったのは、みなさんのおかげだなって思います。

――YouTubeではリラックスして話せているんですね。
そうですね。中二病をこじらせていた頃の黒歴史も、以前なら恥ずかしくて話せなかったけど、みんなが面白いと言ってくれるので。

――今だから話せるような黒歴史はありますか?
本当に中学2年生の頃、『BLEACH』にハマって、詠唱呪文のノートを作って、オリジナルの呪文を小声で口ずさむ…みたいなことをやっていました。絵が好きだったので、自分専用の装束や武器も書いて。そのノートも実家に残っていると思いますけど、恥ずかしいので封印したいです(笑)。

――まさに黒歴史ということで(笑)。ゲーム配信は、ゲーム好きの趣味を活かした配信で、手を動かしながら喋るのはすごいなと感じます。
実況している時って、手と口が別の人になるんですよ。ゲームについて語るのは難しいけど、ゲームをしながら雑談をするのは特技かも。寝転がりながらでもできます(笑)。自分が楽しければみなさんも楽しいんじゃないかなって思うので、勝ったら素直に喜ぶとか、リアクションには気をつけてますけど、あまり細かいことを気にせずに楽しんでます。

月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

いつか主役級のキャラクターを演じたい

――楽しそうですね。休日はずっとゲームをしていることも?
自宅なら10時間とか…。ただ人間って10時間集中していると、何かが限界を超えるんですよ。お腹がすくとか、集中が切れてくるとか。そうなったら、1時間くらい外出したり、空気を入れ替えたりして、人間らしい生活をしてから、また10時間ゲームをする…みたいなのを繰り返します。

――人間の生活なしでできるようになればいいのですが…。
わかります。人間ってなんで寝ないといけないんだろうとか、ゲームをしているとすごく思います。一度、寝なくてもいけるかなと思って挑戦したら、23時間で気づいたら寝ていて。私の限界は23時間だったみたいです(笑)。

――十分にすごいと思います(笑)。声優さん同士でよく遊ぶ方はいますか?
最近、朗読劇で一緒になって仲良くなったのが、千春ちゃんと、田中音緒ちゃん。2人ともすごくゲームとアニメが好きなので、話が合うんです。なので、3人でよく話したり、ご飯に行ったりします。私は誰かと仲良くなるのにすごく時間を必要とするタイプで…その中でも仲良くしてくれているのが、この2人。すごくありがたいです。

月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――ゲーム好きは大きな共通点ですよね。
年齢も近いので、幼少期に観てきたアニメで盛り上がることもありました。この間話したのはポケモン。世代によって違いが出やすいと思うんですけど、3人ともアニポケで育ってきたので、サトシが引退した時はみんなで泣きました(笑)。

――声優として、これからどんなことに挑戦していきたいですか?
いつかアニメで主役級のキャラクターを演じてみたいのと、歌やダンスにも興味があるので、アイドル活動にもチャレンジしたい。最近は趣味でコスプレも始めました。この前、『NieR:Automata』の2Bというキャラクターのコスプレを着たら、いろんな方から反響をいただいて。コスプレって自分じゃない自分になれたようで楽しいんです。カノ・クランズのコスプレにもいつかは挑戦したい。その時はぜひ見ていただきたいなと思います!

月城莉奈【声優図鑑 by 声優グランプリ】

【声優図鑑】月城莉奈さんのコメント動画

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

撮影=石田潤、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」

「声優図鑑」に出てほしい声優リクエストを募集中!