「声優図鑑」根本京里

根本京里「私を通して作品やキャラクターを知ってもらえたら、それ以上に嬉しいことはない」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

「声優図鑑」根本京里

キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。

今回は『くノ一ツバキの胸の内』のサザンカ役や『アリス・ギア・アイギス Expansion』の高幡のどか役、『アンデッドアンラック』のミコ=フォーゲイル役で注目を集める根本京里さん。根本さんが声優を目指したのは大学の先生のある言葉がきっかけだったそう。小さい頃や養成所時代のエピソード、転機となった作品、プライベートのお話までたっぷりとお聞きしました。

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「声優図鑑」根本京里

根本京里
ねもとみやり●5月22日生まれ。茨城県出身。青二プロダクション所属。主な出演作は、『くノ一ツバキの胸の内』(サザンカ)、『アリス・ギア・アイギス Expansion』(高幡のどか)、『アンデッドアンラック』(ミコ=フォーゲイル)、『アサルトリリィBOUQUET』』(立原紗癒)ほか。

オフィシャルサイト:https://www.aoni.co.jp/search/nemoto-miyari.html
X:https://twitter.com/miyari_nemoto

大学の先生の何気ないひと言がきっかけで声優を目指しました

――根本さんは小さい頃からアニメが大好きだったそうですね。
父親がアニメや映画が大好きで、VHSに録画をしてたくさんしてくれていたんです。だから物心つく頃には『ルパン三世』とか『シティーハンター』といった作品に触れていましたね。そこから『結界師』や『ソウルイーター』にもドハマりしました。当時はヒロインの雪村時音ちゃんに憧れて、髪の毛も伸ばしていたんですよ(笑)。とにかくオタクしていました。

――小さい頃はどんなタイプの子でしたか?
スポーツ少女でした。ずっと柔道をやっていたのですが、始めたきっかけは『YAWARA!』の主人公の柔ちゃんだったんですよ。柔道をやりたいというよりも、柔ちゃんになりたいという気持ちの方が大きかったですね。当時はずっと外で遊んでいるような子で、肌も真っ黒に焼けていたので、仲のいい近所の方からは『京里ちゃんは野放しだからね』って冗談を言われていました(笑)。

――現在の根本さんからは全く想像ができないですね。
確かにそうかもしれないですね。当時は女子と男子が喧嘩していて、女子が泣かされているのを見ると、「何泣かしてんだ!」とよく喧嘩を買っていました。助けてあげたのに先生からはなぜか私が怒られるんですよ。

「声優図鑑」根本京里

――正義感の強い子だったんですね。声優になりたいという夢はいつから抱くようになったんですか?
本格的に声優になりたいと思ったのは大学生の頃ですね。高校生の時に人生は一度しかないから一番好きなことをやりたいと思って、いろいろと考えた時に真っ先にアニメが出てきたんですけど、当時の私はアニメーターか声優しかアニメに関わる仕事を知らなくて。絵を書くことは好きだけど、そんなに上手ではないし仕事にはできないし、声優さんにはなれるわけないと思っていたので、もう一つの夢だった幼稚園の先生になるために、大学に行きました。大学1年生で上京したのですが、大学の授業の中で、とある先生が「若いうちに1個でも気になることがあるんだったら挑戦してみることに価値があるからやってみなさい」というお話をしていただいて、声優に挑戦しようと養成所に通い始めました。

――その先生のお言葉がきっかけで声優を目指したんですね。
何気ないひと言だったんですけど、その言葉が自分の中に強く響きました。いま思うとアニメに関わる仕事ってアニメーターと声優以外にもあることがわかるんですけど、当時は視野が狭くて……。そこから大学に通いながら映像テクノアカデミアに2年半通いました。

――それこそ声優という職業って目指すだけでも勇気がいると思うのですが、いま根本さんのお話を聞いていると、あまり不安もなかったのかなと。
実はすごく不安でした……。デビューしてから5年の間に自分で納得できる役を取れなかったら、声優はキッパリ辞めようとあらかじめ決めてから目指したんです。私はたまたま『くノ一ツバキの胸の内』でサザンカという役をいただけて、そこで続けてもいいかもと思えるようになりました。だから、サザンカがいなかったらいま私はここにいなかったんだろうなと思います。

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――一度幼稚園の先生になるために大学に通われて、そこで方向転換をしたということですが、ご両親からは反対はされませんでしたか?
絶対に反対されるだろうなと思ったので、どうしたら認めてもらえるのかを書いたプレゼンテーションを自分で作って、両親にプレゼンをしました。そしたら驚くことに「応援するよ」と言ってくれて。いまでもすごく応援して支えてくれています。

――緻密に練られていてすごいですね。養成所での生活はいかがでしたか?
映像テクノアカデミアっていろんな世代の方が来る学校だったので、様々な感性や刺激を受けたり、先生方にも大変お世話になりました。実は私、演技できると思って入ったんですけど、一緒に養成所に通っていた同じ事務所の角倉英里子ちゃんの演技を初めて見た時に、こんなに上手なのにまだプロじゃないのかと絶望してしまって。そこでまた意識が変わりました。

私のやりがいはキャラクターを好きになってもらうこと

――アニメ作品では『ゲゲゲの鬼太郎』が初めてのお仕事ですよね。初めての現場はいかがでしたか?
すごく緊張したのを覚えています。コロナが流行る前だったのでみんなで一緒に収録したのですが、初めて野沢雅子さんにお会いして感激しました。あとは緊張しすぎてあまり覚えてないですね(笑)。

――養成所での学びと実際の現場では異なることも多いと思います。現場で驚いたことはありましたか?
外画の吹き替えを中心として授業が多かったので、大きな声出すことが多かったのですが、繊細に出しても大丈夫なんだということを『ゲゲゲの鬼太郎』の現場で知りました。当時はこんなに小さい声でマイクに入るのかなって心配しながらやっていました。

――では、これまで共演された方で衝撃を受けた声優さんはいますか?
何人もいらっしゃるんですけど、最近で衝撃を受けたのは林原めぐみさんです。ほんとに圧倒されましたね。直前までかっこいい大人の女性っていう感じなのですが、いざ役に入ると切り替えがすごくてびっくりしました。やっぱり長い間、第一線で活躍されている方は違うなと思った瞬間でした。その姿勢を見て、私もたとえ名前がない役であっても、一つの命として吹き込んであげないといけないなと思いましたね。あと釘宮理恵さんはずっと憧れです。

「声優図鑑」根本京里

――実際にそういった方々の演技を参考にされることもあるのでしょうか?
ありますね。普段は破天荒なキャラを演じることが多いのですが、繊細な演技を求められた時に、それこそ釘宮さんの繊細さを研究したりもしました。あとは、今は挑戦中なのですが、私は男の子の役をやってみたいなという気持ちもあるので、伊瀬茉莉也さんの演技も研究中です!

――これまでの活動で転機となった作品はありますか?
やっぱり初めてメインの役をいただいた『くノ一ツバキの胸の内』ですね。そもそも私はサザンカのようなキャラクターを演じる事ができると思っていなくて。あれがきっかけでやかましい喋りのキャラクターが増えたので、自分の幅を広げてくれた作品です。あと『アリス・ギア・アイギス Expansion』の高幡のどかちゃんもそうですね。のどかちゃんは自分とも近しいキャラクターだったので、演じている時に自分とキャラクターの境目がわからなくなってしまって。世に出るまでは本当に不安だったのですが、ファンの方からキャラクターを好きになってもらえて嬉しかったです。

――根本さんにとって声優としてのやりがいってなんでしょう?
3月末まで放送されていた『アンデッドアンラック』でミコ=フォーゲイルという役を演じさせていただいているのですが、マネージャーさんから「オファーいただいたよ」と伝えられた時にびっくりしてしまって。アニメが始まる前まではそこまで注目されている子ではなかったんですけど、先日ミコのグッズが出たのを知って、ミコにもスポットが当たったのかなって思ったら嬉しくなったんです。今まで注目されていないキャラクターをみんなに見つけてもらうのが私のやりがいなんだなとそこで気づきました。

――昔からのアニメ好きな根本さんらしい視点ですよね。
名前のないキャラクターを演じていても、印象深いシーンを一つでも作って、そのキャラクターのことを好きになってくれたら私はもう最高に嬉しいです。そして作品に少しでも貢献したい。私のことが気になってフォローしてくださる方はもちろん嬉しいですし、有り難いんですけど、私を通して作品やキャラクターを知ってもらうことができたら、それ以上嬉しいことはありません。

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自分が関わった作品や人のことをいろんな人に知ってもらいたい

――根本さんのプロフィールを見るとすごく多趣味な印象を受けたのですが、最近ハマっているものはありますか?
まだ時間がなくてちゃんと触れられてはいないんですけど、番組で共演している新田ひよりちゃんがPSPを貸してくれたので、『薄桜鬼』のゲームをやっています。

――普段からゲームはよくやるんですか?
そんなにいろんなゲームに触れてきたわけではないのですが、コロナを機にNintendo Switchの『どうぶつの森』を始めて、その後はしばらく『モンスターハンター』をやっていましたね。あと最近は『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』に追加のDLCがきたので遊んでいます。特にスグリくんというキャラクターが大好きで、推し活しています(笑)。

――では、休日は何をして過ごすことが多いですか?
家から出ない時は全く出ないですし、逆にリフレッシュがてら新幹線を使って遠出したりします。同期の子ともよくランチに行ったり、私はお酒が好きなので友達を連れて飲みにも行きますね。最近だと、夏吉ゆうこちゃんとか天海由梨奈ちゃん、新田ひよりちゃんとよく遊んでいます。

――声優同士仲いいんですね。
そうなんです。この前も後輩ちゃんを連れて仕事終わりにご飯食べに行きました。

「声優図鑑」根本京里

――しっかり先輩されてるんですね(笑)。
気づいたら5年も経っているので、先輩しなきゃと思って(笑)。積極的に誘うようにしています。私も先輩方にそういうふうに可愛がっていただいているので、私も後輩にしてあげたいなと思っています。

――声優としてこれからの目標はありますか?
一度、自分の目標を達成してしまって、これからどうしようか迷っていた時期があったんです。もともとは短期的な目標を一つずつ叶えていくタイプだったので、これからはもっと長期的な視点で目標を立てていくことが自分の課題だなと思っています。まだ、現時点では明確な目標は決まっていないのですが、キャラクターもそうですし、役者さんもそうなのですが、いろんな方と出会って、いろんな作品と出会って、自分が関わった作品やキャラクターのことをいろんな人に知ってもらいたい。まだふわっとしているのですが、それがいまの私の目標です。

――最後に読者の方にメッセージをお願いします。
私が演じたキャラクターからでもいいですし、元々作品が好きでたまたま私の演じたキャラクターを気になってくれるでもほんとに嬉しいので、アニメとか外画とかゲームとかいろんな作品で私が演じるキャラクターを楽しんでいただければ嬉しいです。

「声優図鑑」根本京里

撮影=石田潤、取材・文=川崎龍也

根本京里さんコメント動画

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