デビュー作でのド緊張と、アニメ初レギュラーで得た成長
――養成所1年目ですでに事務所に所属していた薄井さん。デビューして初めてのお仕事は何でしたか?
『城姫クエスト』というアプリゲームで、真田本城と有岡城を演じさせていただきました。所属してからわりとすぐに頂いたお仕事で、アルバイト中にマネージャーさんから「今度、収録お願いします」と、台本が送られてきたのを覚えています。しかも、収録日までそんなに猶予がなくて焦りました。
――何しろ初めてのお仕事ですもんね。
そうなんです。当日は現場に行くだけでもめちゃくちゃ緊張しました……! もちろん、事務所に所属している以上はプロですし、台本や作品には真剣に向き合っていたつもりですが、養成所ではマイク前でのお芝居を学んでいない時期で。「まだ素人なんですけど、大丈夫ですか……?」という気持ちもありましたね。マイクの前に座って、ブースの中に一人でいるだけでもド緊張。防音室特有の音が反響しない感じとか、密閉された空間が余計に緊張をあおってきました。
――収録は、1日で?
はい。当時の私はかわいい役や幼い役を得意としていたんですけど、真田本城は落ち着いたお姉さん的なキャラクターだったんです。そういう役はほぼ初めてというプレッシャーもありましたけど、必死に食らいついてなんとか録り終えました。
――達成感はひとしおでしょうね。
でも、その日の帰り道にマネージャーさんに「さっきの収録、どうでしたか? 私、大丈夫でしたか?」と聞いたら、「セリフとセリフの間が長いかな」と言われたんですよ。ゲームの収録って、キャラクターのセリフを次々に言っていくんですが、スタッフさんの合図があるわけではないので、慣れている方はスムーズにどんどん録っていくんです。当時の私は一つ言い終えたら「よし言えた! 次はこのセリフだ」と、何拍も置いていたので「もっとテンポよくできるといいね」という意味でした。そこで「そうか、そういうものなんだ」と、声優の基礎を一つ学びましたね。
――では、これまでの声優人生の中で特に印象に残っている作品を教えてください。
『野生のラスボスが現れた!』です。というのも、初めてオーディションでレギュラーを頂いた作品なんです。もともとアニメが好きでアニメに出たくて声優になったのでとてもうれしかったですし、個人的にもすごく印象に残っている現場です。アフレコ自体は放送時期(2025年10月放送)よりもだいぶ前に録り終えているんですけど、鮮明に覚えています。それまでは、ほかの作品にモブで出させていただくことはあったんですけど、モブだとセリフがそんなに多くないので台本のページをめくることがあまりなかったんです。だけど、私が『野生のラスボスが現れた!』で演じていたディーナはセリフ量がすごく多くて、頻繁にページをめくることになるんですよ。緊張しているとなかなかうまくできず……初回のアフレコでは、この何げない動作一つに戸惑っていました。
――薄井さんにとって、初レギュラーはそれだけうれしく重いものだったんですね。では、最終回の収録を迎える頃にはどう変わりましたか?
マイク前で台本をめくるという動作だけでなく、大勢の方と一緒に演じるということにも慣れて、役に集中して向き合えるようになっていました。ほどよい緊張感はありつつも、基本的にはリラックスしてアフレコに臨めるようになりましたね。
――声優として、成長を実感できた部分も多そうですね。
正直なところ、アフレコ現場では先輩方のお芝居に食らいつこうと必死で、自分を客観的に見る余裕はなかったんです。だけど、この作品のアフレコを経てから、マネージャーさんから「うまくなったね」と言っていただけたことがあって。「絶対に『野生のラスボスが現れた!』のアフレコのおかげだ!」と思ったんです。
――先輩のお芝居に食らいついていた成果が出たと。
あれだけ近くで先輩方のお芝居を何度も見ていたら、その空気感や間に引っ張られるんでしょうね。特に私の役はセリフ量が多かったので、ほかのキャラクターとの掛け合いも多くて、たくさん吸収できたのかもしれません。とても大きな経験になりました。
莉波ちゃんのおかげで役幅が広がりました
――薄井さんといえば、『学園アイドルマスター』の姫崎莉波役でも知られていますが、薄井さんにとって姫崎莉波はどんな存在になっていますか?
うーん……“戦友”ですかね!
――一緒に戦っている感じがすると。
そうなんですよ! 収録はもちろんライブやレコーディングなど、いろんな経験を重ねるごとに一緒に成長している実感がありますし、莉波ちゃんから学ぶことも多いんです。単に「かわいい女の子を演じられてうれしい!」という感覚ではなくて、そこにはちゃんと情熱があるみたいな。熱く向き合えている感じがします。
――では、莉波がいたことで成長できたところはどこですか?
言い出したらキリがないんですけど、一つ挙げるなら役幅が広がったことです。莉波ちゃんを演じていなかったら、お姉さんな役にここまで長期的に向き合う機会がなかったと思うので。今ではオーディションでお姉さんっぽいキャラクターが来たら、「任せて!」と思えるようになりました。もともと私は大久保瑠美さんの役幅の広さに憧れて声優になったので……私の役幅を広げてくれた莉波ちゃんにはすごく感謝しています。私一人ではきっと叶えられませんでした。
――ちなみに、大久保さん本人に憧れていると伝えたことはあるんですか?
いえいえ! ないです! まだすれ違った程度で作品でご一緒したことはないので、いつかご一緒したら伝える……かもしれません。伝えていいものなのかな?(笑)
――では、プライベートな質問も少しだけ。最近ハマっているものは何ですか?
『ぽこ あ ポケモン』です。ポケモンしかいない町を整備していって人間を呼び戻そうとするというゲームなんですけど、ストーリーを進めていくと人間のことがどんどんひも解かれていくんですよ。それがちょっと不穏で面白くて。ずっとやっています。
――町作り系のゲームが好きなんですか?
めちゃくちゃ好きです! 『Minecraft』『どうぶつの森』『ドラゴンクエストビルダーズ』とかが好きなので。『ポケモン』も昔から大好きなので、『ポケモン』と町作りゲームが掛け合わさるなんて、もう理想すぎます!
――では今は、せっせと町作りを?
と、思うじゃないですか? 私も変わっちゃったな……と我ながらしんみりしちゃったんですけど、「先にストーリーを進めたほうが効率的かも」と気づいて、ストーリー優先で進めているんですよ。なので、そこらじゅう穴だらけ(笑)。ポケモンたちの住環境はあまりよくない状態です。昔は、最初から凝りすぎちゃって、ストーリーを進められないタイプだったんですけどね……。
――じゃあ、町を整備するのはこれからですね。
そうですね! ストーリーが一段落したら、本気を出します(笑)。
~声優未来予想図~
Q:これからどんな声優を目指したいですか?
1年後の私 アニメにレギュラーで出演する!
『野生のラスボスが現れた!』に続き、再びレギュラーを勝ち取りたいです。演じたい役は特に決めていません。得意な役はもちろんですし、「私にできるかな?」という役でも挑戦してみたい。とにかく何でもやってみたいです!
3年後の私 アーティストデビューする!
声優としていろいろなアニメに出演するのはもちろん、オープニングやエンディングの歌唱アーティストとしても作品に参加してみたいです。水瀬いのりさんや小倉唯さんのように、どちらの道でも活躍できたらいいなと憧れています。
5年後の私 アニメの主演を務める!
実力ある声優さんは大勢いらっしゃるので、レギュラーに選ばれるだけでも相当大変なんですけど、主演となるともっと大変。でも、だからこそつかみ取りたいです。あえて理想を言うなら……“ザ・二次元”みたいなピンク髪でツインテールのかわいい魔法少女をやってみたいですね。できればお兄ちゃんがいる設定だとうれしいです!
10年後の私 変わらず声優を続けている
どんどんマルチになっている声優業界ですが、私自身は“声で表現するお仕事”以外のことはあまり考えていません。もちろん機会があればやらせていただきたいですが、自分の中心にあるのはやっぱり声のお芝居と歌。10年たっても変わらず声の表現を探求し続けていてほしいです。
撮影/石田潤 ヘアメイク/Sweets 取材・文/松本まゆげ
薄井友里さん手書きプロフィール
薄井友里さんコメント動画
▼動画URLはこちら
https://youtu.be/bEqZVtRy9CU

















