青二プロダクション附属俳優養成所 青二塾

演技面はもちろん、人間力の育成についても定評がある青二塾は、第一線で活躍する声優たちを長年にわたって輩出し続けている。そんな青二塾で学び、現在は青二プロダクションに所属する若手4名と、古川登志夫塾長との座談会をお届けする。

基本情報

青二プロダクション附属俳優養成所 青二塾

【所在地】
▼東京校
〒106-0031
東京都港区西麻布1-6-4 AONI BLDG.(青二ビル)
https://www.aonijuku-tokyo.jp

【アクセス】
▼東京校
地下鉄各線「六本木」駅

インタビュー

古川登志夫塾長

古川登志夫 塾長
ふるかわとしお●7月16日生まれ。青二プロダクション所属。主な出演作は、アニメ『ドラゴンボール』シリーズ(ピッコロ)、『機動戦士ガンダム』シリーズ(カイ・シデン)、『ゲゲゲの鬼太郎(第6作)』(ねずみ男)、『ONE PIECE』(ポートガス・D・エース)ほか。

上杉華子

上杉華子さん
うえすぎはなこ●9月9日生まれ。東京都出身。青二塾40期卒。青二プロダクション所属3年目。主な出演作は、海外ドラマ『ゾーイの超イケてるプレイリスト』(ジェシカ)、『Truth Seekers』(ジョジョ74)ほか。

藤澤 奨

藤澤 奨さん
ふじさわしょう●5月11日生まれ。岩手県出身。青二塾40期卒。青二プロダクション所属3年目。主な出演作は、その他『HeavenlyHelly』(ファウタ)、海外ドラマ『ゾーイの超イケてるプレイリスト』(エディ)ほか。

春日さくら

春日さくらさん
かすがさくら●12月12日生まれ。東京都出身。青二塾41期卒。青二プロダクション所属2年目。主な出演作は、映画『エターナルズ』(女生徒)、TV番組『NHKおはよう日本』ほか。

水森拓海

水森拓海さん
みなもりたくみ●4月3日生まれ。東京都出身。青二塾42期卒。青二プロダクション所属1年目。主な出演作は、ラジオ『青山二丁目劇場』(「君のための一枚」駿一)ほか。

現場での塾長の姿に授業での教えを実感

――古川登志夫塾長の第一印象は?
上杉 『ワンピース』が好きだったので、「エースがいる!」と最初はつい興奮してしまいましたが、「この方から教えていただけるんだ」と思ったら胸が熱くなりました。皆さんは?
藤澤 塾長は物腰がすごく柔らかなのに、稽古場に入られた瞬間に空気が変わりました。柔らかな口調でも熱がしっかり伝わってきて、頑張っていこうと思えました。
春日 声優の方にお会いすること自体初めてで、それがこんなすごい方なので衝撃でした。本当にこの業界に足を踏み入れたんだと実感した瞬間でした。
水森 最初の授業が印象に残っています。セリフを言う時に「もっと強く、もっと!」と顔が赤くなるぐらい本気でぶつかってくださったんです。もっと頑張るぞと気合いが入りました。
古川 みんな口がうまくなったなあ(笑)。最初は4人ともカチコチでした。彼らは一様に真面目でしたね。上杉の泣き虫は際立っていたけど、「そのエネルギーは演技力を身に付けるために使いなさい」と言ったらピタリと泣かなくなった。

――そんなことがあったのですか?
上杉 授業中、ダメ出しをいただいていた時に、できない自分への悔しさとかふがいなさで泣いてしまうことが続いていて……。そんなある日、塾長から講師室に呼ばれ、優しい口調で「ダメ出しを聞いているときは泣いてはダメだよ」と言っていただきました。「相手が泣いているとそれ以上言うのをやめようと思ったり、言葉をオブラートに包んだりして、その人の真意が伝わらなくなってしまう。その場では言葉をしっかり受け止めて、芝居でしっかり返すのがプロなんだよ」と、そこでハッとしたんです。まだまだ現場でつらいときがありますが、いつもその言葉を思い出しています。

――上杉さん、藤澤さん、春日さんは塾長と共演もされていますね。
春日 塾長の生の演技を間近で見ることができた夢のような時間で、「他者に思いを致す」という、授業での教えを体現されていたのがすごいと思いました。共演者の方にはもちろん、私にもプロとして接してくださって、感動しました。
藤澤 プロとして接してくださっていますが、“教え子への愛”もしっかり感じましたね。それからやっぱり、現場での塾長の演技の迫力にはあらためて圧倒されました。演技の設計の仕方について基礎は教わりましたが、塾長の発想や表現力はやっぱり別次元。
上杉 演技においても心配りにおいても、追いかけても追いかけても、手が届かないような存在です。
古川 3人との共演には最初ハラハラしました。ついダメ出ししそうになってしまうけど、現場にはディレクターもいらっしゃるので、言わないように気を付けていました。一緒に仕事をすると、周りから「ジュニア1年生のレベルじゃない」とレベルの高さに驚く声を聞きます。山口勝平さんがアドリブを入れた時も、アドリブで返せないだろうと思ったら見事に返していて、上杉なんて大女優の風格で堂々としていたよね。
上杉 えー! ありがとうございます。
水森 私も今度共演させていただくのですが、皆さんのお話を聞いていて収録の日が待ち遠しくなりました。私は塾生になったのも遅い分、青二塾での教えどおり諦めることなく「愚直に邁進」し続けていきたいです。

青二塾

本気でぶつかれば本気で応えてくれる

――水森さんと春日さんから、先輩に質問したいことはありますか?
水森 プロになってから、どんなことがつらかったですか?
上杉 一年間濃密な青二塾生活をした後にすぐコロナ禍で、事務所にも何カ月も行けない時期がつらかったです。事務所の所属式もオンラインで、急にガラッと生活が変わってしまって心細かったですね。コロナの状況が緩和して、青二塾で塾長とお話しできたときはエネルギーをたくさんもらえて、頑張ろうと思えました。あの時、ここは原点回帰できるホームのような場所だなと感じました。
藤澤 僕はコロナ禍で事務所の人の温かさを感じました。事務所に来る日が集中しないように、一人ひとりに割り振って、来所してよい日を設けてくださった。すごくありがたいなと思いました。
上杉 つらいことはなかったの?
藤澤 初めてのアニメの現場で、自分としては精いっぱいやったけれど、それが十分にできていなかった時です。つらいというよりは、通用しなかったことがショックでした。新人だから頻繁にお仕事があるとは思っていなかったけれど、次のお仕事が来るまでの間は「やらかしてしまったのかな」と不安になりました。だから、次の機会には今度こそは!との思いで臨みました。だってお仕事をくださる方がいて、新人のほんの少しのセリフのために台本を取りに行ってくださる方もいる。失敗したことをそのままにはできないと思いました。
春日 私も目下悩んでいることがあります。オーディションで結果が出ないときの、上手な気持ちの切り替え方を知りたいです。せっかくオーディションをいただいているのに、結果が出せないことが悔しくて、焦ってしまいます。でも次に向けて頑張るためにも落ち込んだ気持ちが邪魔になってしまって……。
上杉 それに関しては私も悩んでいる最中です。正直、わからないです。
古川 いやあ、若いっていいなと思った。オーディションなんて5、60本に1本受かるかどうか。20本に1本受かったら「ああ、すごい」と思う。そんなものだよ。うまいから選ぶ、駄目だから選ばれないとは限らない。候補として考えてくださることに価値があるんですよ。オーディションを受けられるチャンスがある、それがすごいことなんだと、そのぐらいに思っていないとね。

――最後に青二塾でより有意義な一年間を過ごすためのアドバイスを。
水森 私は授業の日は「本番」だと思って過ごしていました。授業に向けて準備をしたことが、まったく足りていなくて落ち込むことも。でも落ち込んでいると練習に身が入らなかった。どうしたら先生に「いいね」と言ってもらえるようになるだろうと、自分ではなく、相手に視点を向けるようになったら、前向きに考えられるようになりました。
春日 本当にそのとおりだと思います。私も自分が何のために頑張っているのかをはっきり意識することを心掛けました。“本気になれる場所”であるのが青二塾の最大の魅力だと思います。本気でぶつかって、褒めていただけたときの喜びが一年間頑張りきる活力になりました。
藤澤 頑張ることができたのは、ライバルの存在です。身近に「愚直に」本気で邁進するライバルがいたので、今この瞬間も彼は頑張っていると思うと、自分もやるぞという気になりました。先生方は現場を見据えて指導してくださいます。高い壁だけど、乗り越えたときに手に入れられるものが、他にはないと思います。
上杉 私は未経験で右も左もわからない状態で入ったので、同じクラスの経験のある塾生にもアドバイスをもらっていました。その人の芝居を録音させてもらったり、自分の芝居を録音して聞いてもらったり。毎週、次の週までに前の週やったことを何度も繰り返し練習しました。何週間か経って塾長から「だんだん良くなったね」とおっしゃっていただいた時はうれしかったです。厳しいけれど、全力でぶつかっていけば、全力で受け止めてくれます。
古川 回を重ねるごとに積み重ねていく人は伸びる。逆にだるま落としみたいに塔が積み上がらず、また戻ってしまうような人もいます。予習、復習をしている人は少しずつでも着実に伸びていきます。今日はみんなが何を思っているかよくわかりました。

主な青二塾出身者

出身者

古川登志夫塾長からのメッセージ

古川登志夫

近年、入塾を希望される方の中には、自分に声優としての特性があるのか、試しにやってみようという気持ちの方がいます。しかし、そういう気持ちで入ってくると、1カ月ぐらいで、あまり向いていないと辞めてしまいます。「生涯俳優宣言」と謳っているように、生涯にわたって「職業声優」として大成するんだという、堅固な意志をもって入ってきてほしい。大変な世界ですので、本気の覚悟がなければ、とても続かないと思います。青二塾では、演技経験の有無はまったく問いません。むしろ、初心者を歓迎します。「演技経験はまったくゼロ」という方のほうが、余計な癖がないので、実は成長が早いのです。青二プロダクションに所属する500人弱の声優のうち、6割5分くらいが青二塾卒です。タイトな履修期間ですが、青二塾にはその短い期間の中でプロを育てるノウハウがあります。独自の教本を作って行う授業は、たしかに厳しい。ただ、厳しいというのは恫喝するような厳しさではないんですね。その人のもって生まれた個性を引き出して差し上げる、そんな思いで接しています。

青二塾は人間力というところに力点を置いています。それは何かというと、養成理念のスローガンにも掲げていますが、「人格の陶冶」です。「優れた声優である前に優れた俳優であれ。そして優れた俳優である前に、良識ある一社会人であれ。さらに良識ある社会人である前に、品性ある一人間であれ」と、人格の高みを目指します。これは僕ら自身もまだ追いかけているところで、共に学んでいきたいと思っています。年齢や演技経験は関係ない。「未来の青二プロダクションを背負って立つ」、その覚悟をもつ人たちとの出会いを期待しています。

青二塾からのメッセージ動画を公開中!

入所案内&コース紹介

■東京校
【募集コース】
週5日コース(塾生)/1年制 ※高校卒業(見込み)以上対象

【募集時期】
44期生:8月1日(月)~11月30日(水)

【選考方法】
1次試験:書類審査、ボイスサンプル審査
2次試験:面接、台詞、ナレーション、歌唱

▼入試は12月17日(土)、18日(日)
※受験料 1次試験 無料、2次試験5,500円(税込)

【費用】
1年分で1,100,000円

※東京校説明会日程
8/6(土)、9/17(土)、10/15(土)、11/12(土)
すべて11:00~、15:00~(2、3時間程度)

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