畠中祐のゆっくりすくすく 第41回

このコラムでは畠中さんのお仕事や好きなもの、感銘を受けた作品などについて語っていきます。

今回選んだ作品は『悪魔のいけにえ』。

そもそもこの作品は、役作りのために観た作品なのですが、キャラクターの好きな映画の欄に書かれてなかったら、まず出会わなかった作品でしょう。僕は正直そこまでホラー映画をいっぱい観るタイプではなかったのです。だって怖いですし。
『リング』とか、『シャイニング』とか、『エクソシスト』とかはもちろん観ましたよ。名作でした。ですが、ホラーの名作映画を探すという行動を僕はそういえばしてませんでした。だから、この映画に出会ったとき、ホラー映画の底知れぬ魅力を、知った気がしたのです。

舞台は、墓荒しが勃発していた1973年のテキサス州。
五人の男女の若者は、墓の無事を確かめるために車で帰省している。
その道中、ヒッチハイカーを車に乗せるのだが、ナイフで自分を傷つけ始めたり、仲間の一人に傷を付けたりと異常な行動を取る。パニックになりながらもその男を車から下ろし、ガソリン切れのため、近隣の家を訪れる。しかしその家に住んでいた家族は……

というところから始まります。物語は至ってシンプルでわかりやすいです。なのに異常なほど怖いのです。
特に怖いのが、レザーフェイスという人物が襲いかかってくるシーン。
名前のとおり、人の肌を幾重にも縫い重ねた仮面を被っているのですが、恐ろしいことに、この不気味な人物の素性がほぼ明かされません。ただただ順番に興奮しながら若者を一人ずつ殺していきます。そしてもう、なんの前触れもなく突然現れます。無茶苦茶怖いです。そして彼、ものすごい巨体なのですが、足が速い速い。執拗に追い続けてきます。しかもこの映画、低予算で作られていて、当時は35㎜フィルムで撮るのが主流だったのですが、予算がないので16㎜フィルムで撮影されており、スクリーンサイズに合わせるためにその映像を引き伸ばして使われてます。だから必然的に画質が粗くなるのですが、だからこそ画全体が荒々しく、レザーフェイスが追ってくるシーンなんかはものすごい迫力です。もう勘弁してほしいってくらいに迫ってきます。

なんとこの映画、その奇跡的に生まれた画の粗さや、音楽のマッチ具合から非常に高い芸術性を認められ、その結果、作品のマスターフィルムがニューヨーク近代美術館に永久保存されております。

画、音楽、役者の演技、すべてのバランスが完璧で、話はシンプルなのに、こんなにも恐怖を感じることができる、そこに僕はホラーの奥深さと可能性を感じたのでした。
いやぁ、昔のホラー映画ほど、もしかしたら、リアルに僕らに迫ってくるのかも知れません。もう少し、名作を探してみようかなと、ふとこの映画を観終わったあと、思いました。

次回の「畠中祐のゆっくりすくすく」は、2月29日(土)に更新予定! お楽しみに!

畠中さんに質問!

Q:何か習慣にしていることはありますか?(山形県・ゆかち)

ゆかちさん、質問ありがとうございます!!
そうですね、朝シャワーです!! 前の日にどんだけきれいに体を洗っても、朝もう一回浴びないとシャキッとしませんね!!!

 

畠中祐が今、答えます!!!

畠中さんが動画でも質問にお答えしていきます。
今回のお便りのテーマは「あなたの大人になったな~という瞬間!

 

次回のお便りのテーマは「言い間違いに気づいた出来事」です。皆さんの大人にになったと感じたエピソード、お待ちしております!

畠中さんへの質問&お便りを大募集!

     


    はたなかたすく
    8月17日生まれ。神奈川県出身。賢プロダクション所属。主な出演作はアニメ『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』(永見祐)、『バジリスク ~桜花忍法帖~』(甲賀八郎)、『ダイヤのA ActⅡ』(浅田浩文)、『うしおととら』(蒼月潮)、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(香賀美タイガ)ほか。