楠木ともり

【ライブレポート】大切な人との別れも乗り越えて——「Kusunoki Tomori Birthday Live 2022『RINGLEAM』」最終公演【独自取材】

楠木ともり

楠木ともりさんが12月22日(木)、初となるホールツアー「Kusunoki Tomori Birthday Live 2022『RINGLEAM』」最終公演を昭和女子大学 人見記念講堂と配信で開催。自身が作詞・作曲を手掛けた新曲含む全15曲を披露し、2023 年5月に 1st フルアルバム発売すること、来年夏に全国ライブツアーが決定したことを発表した。

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ステージからヘアメイクまで趣向を凝らした『RINGLEAM』

5回目のバースデーライブでもあるこの日のライブは、ウィンター・ソング「narrow」のクリスマス風のアコースティックアレンジで幕を開けた。暗めの照明の下に響く、感情豊かな歌声と楽器のシンプルかつ温かな音色に、音楽の持つ想像力がたっぷりと乗る。バンドメンバーの菊池真義さん(Gt.)、幡宮航太さん(Key.)、宮本將行さん(Bs.)、高尾俊行さん(Dr.)との呼吸もバッチリだ。暗がりのステージが少しずつ明るくなっていくと、声色を変えて「いくぞ東京!」とアジテート。パワフルな「熾火」がはじまると共に、ツアータイトル・RINGLEAMをイメージして作られた、ステージを囲む半円のライトが迸る。ある種両極端とも言える演出で、視覚的にも、聴覚的にも楽しませながら、彼女の世界に引き込んでいった。

ここで「皆さんこんばんは、楠木ともりです!」と元気いっぱいに挨拶。「今日は一段と広いですね!」と満員の客席を眺めながら「皆さんの顔が本当によく見える」と視線を合わせた。そして「全公演来ているひとも、はじめての人も、いろいろな音に耳を澄ませながら、身体を自由に動かして、楽しんでもらえたらと思います」と一人ひとりに向けて話しかける。「2階も立っていいんだよ?」といたずらっぽく伝えるとすぐさま総立ちに。にかっとうれしそうな表情を見せた。

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“アップデートしていこうよ”という軽快なサビが印象的な「アカトキ」へと進むと、客席から自然とハンズクラップが沸く。楠木さん自身もクラップをしながら、“君と笑えているこの瞬間(とき)をこの声が枯れるまで歌い続けていたい”と熱を込めて歌唱。「よりみち」では椅子に座りながらジャジーな香りを振りまく。4枚目のEP『遣らずの雨』に収録された「山荷葉」は、1番をアカペラで、2番はバンドサウンドで。幻想的な雰囲気が曲の持つ情景を一層浮かび上がらせると、今度は温かな歌声で「タルヒ」を。静と動、儚さと力強さ、そこに寄り添うような優しさを交えながら、4曲連続で歌唱した。

ちなみに「山荷葉」のアカペラはリリイベの音響アクシデントから生まれたアイデアだったという。「音は止まってしまったのですが、そのまま歌いきったんです。そのあと結局やり直したんですけど、終わった後皆さんからの反応がめちゃくちゃ良くて! ホールという場所だったらすごく良いんじゃないかなと思って」挑戦したそうだが、なかなかできることではない。進化しつづける彼女の姿を改めて実感する一幕であった。

バースデーライブ恒例のカバーコーナーでは曲を披露する前に「配信の人はぜひ(歌詞を)調べて欲しい!」と投げかけた。「英語の曲なんですけど、歌詞に今私が言いたいこと、伝えたいこと、みんなにこういう言葉を届けたいということがすごく詰まっている」というアヴリル・ラヴィーンの「Keep Holding On」と、「好きな曲」としてL’Arc~en~Cielの「flower」を披露した。ここからさらにアクセルを踏み込み、「遣らずの雨」を激しく降らし、ネオン風の演出で「ロマンロン」を。「ロマンロン」の間奏ではそれぞれのソロプレイにもフィーチャー。アナログレコードをイメージした映像にバンドメンバーの名前が提示され最後に「Vocal:Kusunoki Tomori」の文字が。5つの個性が重なり熱気がさらに膨らんでいく。「盛り上がっていましたね!」と思わず楠木さん。

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そのまま少し長めのMCになだれ込む。2022年を振り返り「アーティスト活動を知ってくださった方も多いと実感した、うれしい1年でした」と伝えつつ、同時に「すごく良いことと、すごく苦しいこともあった」と吐露する。二人三脚で過ごしてきたマネージャーが辞めてしまったということ、これからもファンとして応援してもらえるような人でありたいと思ったこと。素直な思いを伝えていく中で涙が溢れる。「今自分の周りにいる人、誰かに譲れない大切なものってたくさんあると思うんです。失ってからではなく、今一緒にいる間に、大事にしてほしいなという思いを込めて」新曲を作ったと話した。そしてピアノ伴奏で新曲「absence」を贈る。彼女の心からの歌が深く染み渡った。

歌い終えると、率直な感想を口にする。「今こうやってみんながここに集まってくれたから、私は歌うことができるし、ライブを楽しむことができる。今歌っていて、すごく感じました。今日は本当に、来てくれてありがとうございます」

その思いを込めるかのようにクライマックス。アコースティックギターを演奏しながら“笑いあえる日であるように願う雨粒”と紡ぐ「alive」と、いつか慕った普通の日々に白く馨る花を添えて「バニラ」。丹念に紡ぎ出された歌声とメロディが、よりドラマティックに響き渡った。

アンコールでサプライズ「23歳初日、良いスタートを切れました!」

絶え間なく響いたアンコールの拍手に応え「もうひとくち」をプレゼント。ツアーを振り返りながら万感の思いを語り「本当にみんなのことを最高だなって思いました!」とファンを讃えた。そしてお知らせがあるとして「スクリーンを御覧ください!」と勢い良く伝え彼女が小さくしゃがむと……スクリーンには「Happy Birthday」の文字が。さらにバンドメンバーによるパンキッシュな「Happy Birthday To You」と共に、本ツアーの写真がプリントされたケーキが登場。突然のサプライズに目を丸くしつつ「えーっ! ありがとうございます!」と感謝の気持ちを伝えた。「23歳初日、本当に良いスタートを切れました!」とし「今度こそ見ていただきたい映像があります」と幸せなムードいっぱいのまま仕切り直しに。発表になったのは、楠木さんからのサプライズ。2023 年5月に 1st フルアルバム発売すること、来年夏に全国ライブツアーが決定したこと、そのフルアルバムに初披露した「absence」が収録されることを伝え、この日いちばんの拍手が彼女を包み込んだ。

楠木ともり

うれしいニュースに客席が沸き立つなかで、最後を飾ったのは「僕の見る世界 君の見る世界」。タオルを振り回しながらひとつに。RING(丸、集まる、知れ渡る)とGLEAM(輝き)をかけ合わせた『RINGLEAM』というタイトルにふさわしい一体感と輝きが放たれた。最後に「また絶対に逢いましょう」と約束。みんなとの円も、一人ひとりとの縁をも大切にしながら、2023年も彼女はあなたの心に明かりを灯していくだろう。そんな予感でいっぱいになるライブだった。

取材・文/逆井マリ

◇SET LIST◇

M1.narrow
M2.熾火
M3.アカトキ
M4.よりみち
M5.山荷葉
M6.タルヒ
M7.Keep Holding On/AVRIL LAVIGNE(cover)
M8.flower/L’Arc~en~Ciel(cover)
M9.遣らずの雨
M10.ロマンロン
M11.absence(新曲)
M12.alive
M13.バニラ

EN1. もうひとくち
EN2. 僕の見る世界、君の見る世界

Profile
くすのきともり●12月22日生まれ。東京都出身。ソニー・ミュージックアーティスツ所属。主な出演作はTVアニメ『チェンソーマン』(マキマ)、『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』(リーゼロッテ・リーフェンシュタール)、『魔王学院の不適合者Ⅱ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』(ミーシャ・ネクロン)ほか。

◇<Information>
【公式HP】https://kusunokitomori.com
【公式Twitter】https://twitter.com/tomori_kusunoki
【Official YouTube channel】https://www.youtube.com/c/tomorikusunoki