かくして瞬く

水島精二監督が演出・スーパーバイザーを務めるリーディングドラマが11月17日から上演【監督&キャストインタビュー】

かくして瞬く
境遇の異なる5人の女性の視点から紡ぎ上げる朗読劇

数々の人気アニメ作品を手掛けてきた水島精二監督が演出・スーパーバイザーを務め、劇団四季出身のミュージカル作家・ひらたあや氏が脚本・演出を担当したリーディングドラマ「かくして、瞬く」が、2023年11月17日(金)~19日(日)まで、東京・恵比寿エコー劇場にて上演される。

水島監督・ひらた氏とともに「吉河企画」を立ち上げたシンガー・声優の吉河順央さんが中心となり、陶山恵実里さん、引坂理絵さん、藤寺美徳さんといった気鋭の声優と、ふしぎな存在感を放つ森永さんを加えた個性豊かなキャスト5名が集結した本作。多様な経歴を持つキャストたちが、境遇の異なる5人の女性の視点から紡ぎ上げる“身近な悩みに向き合う優しい朗読劇”について、水島監督、吉河さん、陶山さんにその魅力を語っていただいた。

かくして瞬く

「人物同士のつながりが円になっていくことが物語のテーマになっています」

――今回のプロジェクトはどのような経緯で決まったのでしょう?
水島 僕がちょうど「キープの仕事はたくさんあるけど、どれも作業に入れない状態でヒマ」と漏らしていたところ、『アイカツ!』でシンガーを担当し、『ワッチャプリマジ!』に声優として出演した吉河さんから声がかかりまして。カレー屋を通して知り合った(笑)、僕らの共通の知り合いのひらたさんも巻き込んで、企画が進んでいきました。

――ちなみに、どれくらい前に立ち上がった企画なのでしょうか?
陶山 私が最初に話をいただいたのは、今年の7月だったと思います。
水島 そうだったっけ? 今考えるとすごく急ピッチで進んできたね(笑)。

――キャストの選定はどのように行われたのでしょうか?
水島 陶山さんは僕のほうから推薦させてもらって、あとは吉河さんが現場で一緒だった子や「すごく面白い子がいるのでぜひキャスティングしたい」と森永さんを紹介してくれたりといった感じですね。ひらたさんがコミカルとシリアスの両面を描くのが得意なので、そこを意識した人選にしました。顔合わせまでには5人のキャラクターの方向性は固まっていましたね。

――物語の方向性はどう決まっていったのでしょうか?
吉河 登場人物の誰かが主役というのではなく、全員にスポットライトが当たるような作品を作りたかったんです。本作の尺は90分を想定していたので、そこから「登場人物は何人くらいが適当なのか」を最初にご相談させていただきました。

――陶山さんと引坂さんはもともとお知り合いだったとお聞きしました。
陶山 引坂さんとは吹き替え作品の現場でご一緒したのですが、ディズニーランドに一緒に行くくらい仲良くなりまして。共演できてうれしいです!
水島 陶山さんに共演者を聞かれたとき「引坂さんが入る予定だよ」と伝えたら、「え、私たち友達なんです!」と言われてびっくりしたのを覚えています(笑)。引坂さんとはアニメでは直接ご一緒したことはないんですが、お会いした時から注目していた方の一人なんですよ。あれよあれよという間に『プリキュア』シリーズのメインキャラクターを担当するまでになって。

――脚本を初めて読んだときの感想はいかがでしたか?
陶山 最初にいただいた脚本には全体の3分の1くらいしか書かれていなかったので、5人がどのように絡み合っていくのかを想像するだけでワクワクしました。私が演じる二海こころは、今まで演じてきたキャラクターとは少し違っていて。エネルギッシュな彼女を演じられるかどうか不安でしたが、とりあえずやってみたんです。そしたら最初の稽古で「まだ影があるね」と言われてしまって。
水島 陶山さんに関しては「きちっとディレクションをすれば演じきってくれるだろう」という期待がありました。こころの前向きで元気なところの裏返しである「やけくそ」のような部分が見えるお芝居をしてくれるので、キャラクターが上手く立っているなと感じています。

――こころを演じて、何か変わったことはありますか?
陶山 こころはアップダウンが激しく、悩んでもがきます。でもポジティブな思考の持ち主で、自己肯定感を持ちながらも前に進んでいくところに、生きるヒントをいただきました。
水島 陶山さんにやってもらって良かったです。本作に出てくる女の子はみんなそれぞれ悩みを抱えていて、皆さんがそのことに共感できるような物語になっています。そんな5人が刺激しあうところが本作の肝になっているので、そこをキャストに理解していただきながら稽古をしているところです。
陶山 水島さんとひらたさんがとてもていねいに演出してくださるので、リラックスした状態で役に臨むことができて、とてもありがたいです。
水島 こころは、自分が深く考えこむと沈んでしまうことがわかっているから、「それを回避して進む」というスタンスの持ち主なんです。
陶山 稽古するうちに彼女と自分の思考の違いに気づかされました。今までは演じる役も自分と似たようなキャラクターが多かったのですが、今回は自分とは違うタイプの人物を演じる楽しさを感じられて楽しいです。こころを演じてからは、友人との会話の中でも「もう一歩踏みこんでみよう」と思えるようになりましたし、本番を迎えたらどうなるのか楽しみです!

――こころ以外の登場人物についても教えていただけますか?
水島 吉河さんが演じる唯は、すでにシンガーソングライターとして成功しているんです。大人なんだけど何かが足りていない。だからこそ物語として成立しているところはありますね。そんな(一ノ瀬)唯に憧れるこころ、唯の高校からの友人である(三角)郁、そしてこころの大学時代の友人である(四ツ谷)円、最後に、歌手志望のこころを応援する(五木)さよ子。唯と郁はすでに社会に出て活躍しています。社会人として働いているけれども小説家志望の円、親離れを含め、自分が何になりたいのかを模索しているさよ子。こんな感じでそれぞれの物語が展開し、そして5人が交錯していく……というあらすじです。
吉河 「AはBに励まされている一方で、BはCを励ましている……みたいな、“円”のような関係性」ですね。
水島 僕の方で出した、ストーリが進むうちにそれぞれの関係性が見えて来るような……というお題をひらたさんが汲み取って、シナリオに落とし込んでいった……という流れですね。見事でした。

――主題歌は本作のために作られたオリジナルソングだそうですね。
水島 吉河さんの要望に応える形で、僕が所属する株式会社一二三(ひふみ)のグシミヤギヒデユキさんと作ったんですが、吉河さんの作詞がとても良くて。物語の内容と相まって、メチャクチャエモいんですよ。まだ稽古中なのに、ついジーンときてしまって……。吉河さんから「感動するのはまだ早いでしょ!」と突っ込まれました(笑)。
吉河 YouTubeで配信されているものは私が一人で歌っているのですが、実際には5人それぞれパート分けされていて、個性が感じられる楽曲になっています。

――関連グッズも発売されるそうですね。
吉河 パンフレットのほか、アクリルスタンドとブロマイドも作ろうかなと思っています。いい写真がたくさんあるので、ぜひ皆さんにも見ていただきたいです。

――11月17日(金)の上演初日までもう間もなくですね。
水島 このような形で関わらせていただくのは初めてで、気づいたら上演直前になっていました。絶賛焦り中ですが(笑)、とりあえず「なんとかなるだろう」という気持ちで突っ走っていますので、いい形で初日を迎えられたらと思います。
陶山 人物同士のつながりが円になっていくことが物語のテーマになっていますが、私自身もこころやキャストの皆さんの考え方に影響を受けました。観てくださった方々の心に何かしらの影響を与えられたらと思いますし、その方がさらに家族や友人に影響を与えて……というように、私たちの手を離れて「大きな円」になっていけばいいなと思います!

■リーディングドラマ「かくして、瞬く」

<あらすじ>
「世界が誰のものかって、考えたことありますか?」
シンガーソングライターの一ノ瀬 唯、彼女に憧れる歌手志望・二海こころ、小説家の三角 郁、彼女に憧れる小説家志望・四ツ谷 円。こころを応援している大学生、五木さよ子。
母親の依存や、夢に向かう不安と夢が日常になってしまう現実…。
それぞれが悩みを抱え、友人と喫茶店で話したり配信で語ったりする日々。
憧れのときめきや無我夢中なきらめきをまとって、求めて、手探りする…。
そんな5人が歌と言葉に背中を押され、一歩踏み出すリーディングドラマ。

【日時】2023年11月17日(金)〜19日(日)
17日(金)夜の部:開場/18:00 開演/18:30
18日(土)昼の部:開場/12:30 開演/13:00 夜の部:開場/16:30 開演/17:00
19日(日)昼の部:開場/12:30 開演/13:00 夜の部:開場/16:30 開演/17:00
※開場・開演時間は変更になる場合があります。

【場所】東京都 恵比寿エコー劇場

【スタッフ】
演出・スーパーバイザー:水島精二
作・演出:ひらたあや

【出演】
一ノ瀬 唯:吉河順央
二海こころ:陶山恵実里
三角 郁:森永
四ツ谷 円:引坂理絵
五木さよ子:藤寺美徳

■公式X(旧Twitter):https://x.com/yskw_kikaku
■チケット販売サイト:https://t.livepocket.jp/e/yskw_k001