小野賢章さんがゴッホの弟・テオとしてガイド!「ゴッホ展」スペシャルインタビュー

上野の森美術館(2019年10月11日~2020年1月13日)と兵庫県立美術館(2020年1月25日~3月29日)にて開催される「ゴッホ展」の音声ガイドを、声優の小野賢章さんが担当することになった。

豊かな表現力と鮮やかな色彩で人々を魅了し続ける画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。今回の「ゴッホ展」は、彼が画家として独自の画風を確立するまでに影響を受けた「ハーグ派」と「印象派」の作品を交えつつ、ゴッホが画家として歩んだ10年間の足跡を作品と共にたどることができる展覧会である。

音声ガイドではナビゲーターの女優・杉咲花さんと共に、小野さんがゴッホの弟・テオドルス(テオ)として解説を担当。ゴッホからの手紙を読んでいくテオをドラマ風に演じつつ、ゴッホや同時代の画家たちの作品に声で彩りを添える。今回はその小野さんに、ゴッホ展の魅力や音声ガイドの聴きどころなどをたっぷりと語ってもらった。

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テオは、気難しいゴッホが唯一心を許せる人物なんです

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──ゴッホ展の音声ガイドのオファーが来たときの感想をお聞かせください。

美術館や展覧会の音声ガイドのお仕事は今までも何度かさせていただいていますが、自分にとってなかなか縁のない芸術や美術に触れる貴重な機会でもあるので、毎回楽しみに思っています。なので、今回もオファーをいただいたときはとてもうれしかったです。

──今回の展覧会の主役となるゴッホについてどこまでご存じでしたか?

実は、今回資料をいただくまでゴッホについてあまり知らなかったんです。ですが、《ひまわり》や《自画像》はとても有名ですし、厚塗りされた絵の具による鮮やかな色彩と力強いタッチが特徴的だというイメージはありますね。その力強さから、「けっこうヤバイ人なのかな?」と思っていたりもしました(笑)。「壮絶な人生を生きた人なんだろうな」という印象もあります。

──ゴッホ展の音声ガイドで、小野さんはどのような役割を担当されるんでしょうか?

今回の音声ガイドは、ゴッホ展のナビゲーターを担当する女優の杉咲花さんを案内役に、僕がゴッホの弟・テオとして、ゴッホの生み出した作品や当時の時代背景を説明したり、ゴッホからテオに宛てられた手紙をドラマ風に読む、といった内容になっています。

ただ単にゴッホの絵について解説するような音声ガイドとは少し違って、手紙の文面を僕がテオとして語っていくことで、「このときゴッホはどういう心の状態でいたのか」など、当時のゴッホの心情や人間性などの深い部分にまで踏み込んでいただけるのではないかなと思います。

──小野さんが音声ガイドで演じるテオについて教えてください。

兄を支える良き弟、といった印象がありますね。ゴッホはすごく気難しい人だったようですが、そんなゴッホの心のよりどころであり、唯一心を許せる人物がテオなんです。

ゴッホはそんなテオに大量の手紙を送ったりしていましたし、とても親密な二人の関係性は、演じていて楽しかったです。

──実際にドラマパートでテオを演じるにあたってどのようなことに気をつけましたか?

ゴッホにいろいろと振り回されながらも「もう兄さんったら、しょうがないなぁ」みたいな、兄に対してテオが見せる器の大きささや優しさみたいなものが、マイクを通して音に乗ったらいいなと思いながら収録させていただきました。でもこれは音声ガイドなので、感情を入れすぎて、聴いている人が作品に集中できなくなってしまってはダメなんです。「めっちゃ感情的に語ってる!」と思われるのは音声ガイドとしてどうなんだろうという(笑)。

微妙なニュアンスの違いに注意しつつ、ちょうどいいバランスを意識するのが大事だと思って声をあてました。具体的には、作品の雰囲気を意識しながらテオが解説する説明パート、ゴッホからの手紙をテオが読んでいく読み聞かせパート、そしてテオが自分の想いを吐露するドラマパートという3つのパートについて、それぞれ若干変化をつけつつ演じました。

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──音声ガイドならではの難しさもあったんでしょうか?

聴いている方をしっかりとガイドするのが目的なので、言葉が聴き取れなかったら意味が無いんです。特に作品名や人物名、建物の名前、イントネーションといったものは絶対に間違わないように、さらにちゃんと聞き取りやすいようにと意識しながら収録させていただきました。

ほかにも、台本を読んでいるときに「ゆっくりすぎると絵の前で立ち止まってしまうので、ある程度スピードは欲しいです」というふうにディレクションされて。それには思わず「なるほど、たしかに!」と納得してしまいました(笑)。

──逆に、収録していて面白かった点を教えてください。

自分の知らないことを知ることができるのがとても楽しいです。ゴッホについても、最初はほとんど知識が無くて、テオという弟がいたことすら知らなかったほどでした。ですが、今回の収録を通してゴッホについてのさまざまな知識を得ることができ、これでより深くゴッホの作品を楽しめるなと思いました。

──音声ガイドの魅力についてお聞かせください。

一般的には絵の近くに解説文などが貼ってあって、それを読みながら作品を鑑賞するわけですが、それだと解説文を確認するためにいちいち絵から視線を外さなればならず、作品から視線や意識がそれてしまって集中して観賞できないことも多くて。それがちょっと残念だったのですが、音声ガイドで解説を聴けばよりいっそう絵に集中できて、作品への没入感が増します。

さらに、このゴッホ展のようにドラマ風の演出を加えることで、作品の世界観により深く浸りながら観賞できるというのは、音声ガイドの大きなメリットであり魅力なんじゃないかなと思っています。

──今回のゴッホ展で展示される作品の中で、小野さんのオススメを教えてください。

やはり、フライヤーにも載っている《糸杉》ですね。今回のゴッホ展は、ゴッホがいろんな作家の影響を受けることで、僕らのよく知っているような作風に変化していく経過を追うことができる構成になっています。音声ガイドで読まれる手紙でもゴッホの変化を感じられますし、その変化の果てに《糸杉》があるので、ぜひ皆さんにも見ていただきたいのはもちろん、僕も実際に間近で見てみたいです。

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フィンセント・ファン・ゴッホ 《糸杉》 
1889年6月 油彩、カンヴァス 93.4×74cm メトロポリタン美術館
Image copyright © The Metropolitan Museum of Art.
Image source: Art Resource, NY

──最後に、この記事をご覧の皆様にメッセージをお願いします。

美術や芸術に触れる機会が無くても、ゴッホの作品を知っている方はたくさんいらっしゃいます。ですが、ゴッホという人物や作風の変化については知らない人も多いのではないでしょうか。ゴッホ展に来ていただければ、新しい発見とともにより深くゴッホの作品を楽しめるようになるはずです。ぜひ上野の森美術館まで足を運んでいただき、ゴッホ展の展示作品と併せて、音声ガイドを聴いていただければと思います。

プロフィール

おのけんしょう●10月5日生まれ。アニモプロデュース所属。主な出演作は『スパイダーマン:スパイダーバース』(マイルス・モラレス)、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』(ジョルノ・ジョバァーナ)、『アイドリッシュセブン』(七瀬陸)、『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』(朏素晴)ほか。

開催概要

●東京展
日時:2019年10月11日(金)~2020年1月13日(月・祝)
休館日:12月31日(火)、1月1日(水・祝)
会場:上野の森美術館 東京都台東区上野公園1-2
開館時間:9:30~17:00 ※金・土曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで
入場料(税込):一般1,800(1,600)円、大学・専門学校・高校生1,600(1,400)円、中学・小学生1,000(800)円
*( )内は前売券および20名以上の団体割引料金
※障がい者手帳持参者とその介護者1名は無料(要証明)
お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル/全日8:00~22:00)

●兵庫展
日時:2020年1月25日(土)~2020年3月29日(日)
休館日:月曜日(祝休日の場合は開館、翌火曜日休館)
会場:兵庫県立美術館 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
開館時間:10:00~18:00 ※金・土曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで
入場料:一般 1,700円(1,500円)、大学生 1,300円(1,100円)、70歳以上 850円(750円)
※高校生以下無料
※( )内は前売および20人以上の団体割引料金、70歳以上は、前売なし。
※障がい者手帳持参者は、一般 400円、大学生 300円(要証明)、その介護者1名は無料
お問合せ:078-262-0901
(10:00~18:00 休館日は除く)

詳細は、公式サイト(https://go-go-gogh.jp/)をチェック!

スタイリスト/DAN ヘアメイク/斎藤将志 取材・文/川畑 剛

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