7月20日に、2ndシングル「色違いの糸束」をリリースした梶原岳人さん。今回は、このシングルの制作秘話を中心にお話を伺いました。また、同表題曲がエンディングテーマとなっているTVアニメ『オリエント』第2クール淡路島激闘編のお話も!
生音はその人の“人生に基づく音”が聴ける
――梶原さんといえば、デビューシングル「A Walk」がテレビアニメ『ブラッククローバー』の第12クールエンディングテーマになっています。今回は2度目のタイアップですが前作と今作で気持ちに変化はありますか?
前回は一応主演作でのタイアップだったんですが、今回は第2クールから登場するキャラクターを演じつつ、タイアップもやらせていただけるという形なんです。なので、ちょっとまた作品の捉え方も、タイアップの捉え方もまた違うかなと思っています。というのも、今回は作品を俯瞰して見られているのかなと思うんですね。
作品の主人公って、物語そのものを動かす立場だし、きっかけを与えるというポジションでもあるので、どうしても自分が中心にいなければいけないけれど、今回はそことはまた違うポジションなので。ちょっと端の目線から見ることができたなと思っていますね。2度目だからというよりは、作品に対する立ち位置の違いなのかなと感じています。
――では、そのうえで「色違いの糸束」という楽曲はどんな楽曲になりましたか?
今回は、またちょっと違った種類の“豪華さ”を感じます。いろんな音がしっかり聞こえてきますし、その曲自体のパワーを楽器の力が引き上げてくれているような感覚がすごくありますね。実は、アレンジする前はここまで豪華ではなくて。わりとシンプルなアレンジだったんですよ。
――そうなんですね。今はストリングスまで入っていますが。
デモの段階ではいわゆる一般的なバンドサウンドに近かったです。そこから、「1曲を通して変化していった方が面白くなるんじゃないか」と僕がいくつか提案をして、裏で若干コードが変わるところとか、バッグのストリングスとかを加えてもらいました。あとは、ギターもいくつか足されていますし、間奏も少し長くなっているところがあります。なので、本当にガラッと変わったと思いますよ。びっくりするんじゃないかなというくらい。
――それは、梶原さんの中で理想とするものがあったのでしょうね。
音楽としての面白さも付け加えたいなとは思っていました。それに、「オリエント」が描いているテーマは魂の色の違いによる対立や葛藤といった、しっかりと重さがあるものなので、説得力みたいなものももたせたかったんですよね。制作段階でかなり追求していると思います。
――では、レコーディングに臨む際もそういった部分は大切にしている?
そうですね。ただ、だからといって難しく感じたことはなかったです。むしろ、フィーリングで出したものがスッとハマった感じ。サウンド自体も自分の考えを反映させてもらいましたし、歌詞と感情のリンクも自分のフィーリングを重視して、考えすぎずにやることができたと思います。
――ちなみに、バンドもストリングスも打ち込みではなく生演奏だと聞きました。梶原さんにとって、生の楽器の良さってどこだと感じていますか?
弾いてくださる方や叩いてくださる方の、手癖が出るところですね。言い方を変えると、その人が経験してきた“人生に基づく音”が出ていると思うんです。もちろん、打ち込みでも微妙な音の違いを出せるでしょうけど、やっぱり人間の温かみというか、人間の魂的な部分で言うと、ぜんぜん違うのかなと。僕は、やっぱり音楽って人間的であってほしいなあと思うんですよね。機械がスンと終わらせるような曲になって欲しくないというか。僕も、役者として魂を吹き込むという仕事を心を燃やしてやっているので、曲としてもそういった部分が消えてほしくないなと思うんですよね。
――それは、アーティストデビューする前の、バンドをやって居る頃から思っていることなのでしょうか?
そうですね、当時からずっと思っていることです。昔からライブに行くのが好きで、特にバイトをはじめた大学生くらいの頃からはライブハウス、ホール、スタジアムといろんなキャパのライブに通っていたんですけど、そのたびに会場でしか感じられないものってあるんだなとひしひし感じていたんですよ。その頃から思いは変わっていないですね。なので、普段聞く楽曲も完全にそっち寄り。いわゆるピコピコ系の曲よりは、バンドサウンドのほうが好きですね。