【プロ声優による盲学校への出張授業】第二弾:講師 古川登志夫さん[後編]

『声の力プロジェクト』第二弾:プロ声優による盲学校への出張授業レポート

視覚障害児が声による伝え方の多様性を学ぶことで、自分の可能性を再発見してもらうことを第一目的とするプロジェクト「声の力プロジェクト」。その活動第一弾「プロ声優による盲学校への出張授業」の2日目が、8月31日に筑波大学附属視覚特別支援学校にて行われました。

前回に引き続き、声優の古川登志夫さんが講師を務め、参加者はアニメや声優に興味を持つ高校生7名(男2:女5)。7月に行われた授業から約1カ月間、自主練習をしてきた生徒たちの大きな成長がみられる授業になりました。

さらに朝日新聞DIALOGでは、古川登志夫さんによる授業の様子をまとめた動画を配信中!

▪️朝日新聞DIALOG
http://www.asahi.com/dialog/voice-power/12856574

『人格等身大表現』”演技力はその人の人格と等身大である”ということ

【日時】
2019年8月31日(土)

【場所】
筑波大学附属視覚特別支援学校

【講師】
古川登志夫さん

 

まずは前回の復習を兼ねて、呼吸法(腹式呼吸、胸式呼吸)や発声法を行いました。みんな一発目から大きな声で「アエイウ、エオアオ……」と発声すると、古川さんも「良いですね。最後まで音程が狂わなかったね」と満足そうな笑みを浮かべました。また、セリフの一節をそれぞれ順番に読むと、これには「想像以上によく感情表現ができているね」と生徒たちの成長に驚く古川さん。

さらに、キノコのぬいぐるみを使って、ゲーム要素の強いレッスンも。「キノコを渡された人は、それを取り上げられるまで笑うこと」と課され、みんな感情を解放させて元気いっぱいに”笑い”を表現していました。

ここで1時限目が終わり、2時限目はセリフ読みのレッスンです。7月に行われた授業後に宿題として出され、約1カ月の間練習をしてきた成果を発表していきます。全員の発表を聞き終えた古川さんがお手本を見せ、注意点やポイントを解説。それを受けてそれぞれ自主練習に入ります。古川さんは一人ひとりの相談を聞きながらアドバイスをしていきます。古川さんの迫力ある演技に影響されたのか、練習するうちに、みんなの表現がだんだん大きくなっていきました。

自主練習後、再び全員の発表が終わると、今度は2日間の授業についての感想を求められ、それぞれ自分の思いを述べました。


■「私は声優に興味があって参加しました。今回参加してみて、(声優の)全部を知ることができたわけではないけど、声優はどういう仕事をしているのか、などを知ることができてうれしかった。私にとって良い経験になりました」(高2、岡田愛美利さん)

■「普段ここまで意識して感情を表に出すことはなかった。今回思う存分声を出せて気持ち良かったし、演技ってすごく楽しいなと思いました」(高1、髙橋弘毅くん)

■「まず古川先生にお会いできてうれしかった。そして声優さんのされているトレーニングのお話を聞き、実際にセリフを読んで感動しました。今回いろんなことを知ることができました。ありがとうございました」(高2、隅本真理さん)

■「自分の好きなキャラクターを真似てセリフを言うことは昔からやっていたけど、今回ゼロからキャラクターを作っていくことはすごく大変でした。いつもそれをやっている声優さんはすごいなって思います。今回のことをきっかけに、これからもいろいろなことにチャレンジしていきたいです」(高1、田中紫音さん)

■「最初は不安があったけど、教えていただいて良かった。自分じゃないキャラクターを作っていくことは大変だけど、途中からすごく楽しくなりました」(高2、田邊和馬くん)


これらのコメントを聞いた古川さんは「皆さん、自分の思いを伝えるのがとても上手」と絶賛。彼らに対して、激励のコメントを送りました。

「今回一番勉強になったのは、僕じゃないかなと思います。この2日間、(初心者の)皆さんにとっては難しいことをやりましたが、皆さんは積極的に参加し、想像以上に頑張ってくれました。何より、今回このプロジェクトに参加してみようと思った、皆さんのチャレンジ精神はとても大切だと思います。最後に一つ、『人格等身大表現』という言葉を贈ります。これは、”その人の演技力はその人の人格と等身大である”ということ。つまり、演技が上手な声優は、人間的に魅力的な人である。上手くなりたければ、まず人格を磨け、人間力をつけよ、という意味です。『人格』とは”他者に思いを致す””他人のことを自分のことのように考えられる”ということ。これは声優の仕事だけじゃなく、将来どんな道に行っても通用します」と締めくくり2日間の授業が終了。

あらためて古川さんが感想を語ってくれました。

  • ――今回の授業の狙いを教えてください。

「『声の力プロジェクト』自体の狙いがいくつかあるので、それをとにかく引き出したいと思っていました。自分のことを自分で語れるコミュニケーション能力、人間力ですね。それを本人たちが自覚できるようにすることが大きな狙いです。彼らが心を開いてどう語れるかが一番の狙いでした」

  • ――2日間で一番印象に残ったシーンは?

「レクチャーをする度に彼らはどんどん変わっていくので驚きました。実際に僕が教えている養成所では、これがなかなか難しいんですね。みんな自分の殻から抜け出せなくて、自分の好きな演技はできるけど、『こう変えてください』と言うと、もうできなくなってしまうんです。今日参加した皆さんは非常に柔軟ですし、こちらが言ったことを素直にそのまま返してくれるので『ここまで変わるんだ』とびっくりしました。また、授業が終った後、『楽しかった』とみんなか言ってくれたのを聞いて、良かったと思いました」

  • ――生徒さんから学んだことも多かったと仰っていましたが、具体的には?

「彼らはやっぱり純粋なんですね。純粋な彼らの表情をずっと見て語りかけているうちに、自分が心を洗われるような感覚になって。話している最後の方で、気付いたら込み上げるものがありました。それは話の内容とは関係なく、彼らがじっと見ている表情に感じてしまったんです。僕自身、大変勉強になりました」

今後の展開として、地方の盲学校での出張授業、ラジオドラマ共同制作のための合宿、成果報告を兼ねたシンポジウムが都内で開催される予定です。

 

■記事一覧
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■朝日新聞DIALOG 「声の力」プロジェクト
http://www.asahi.com/dialog/voice-power/

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