反田葉月【声優図鑑 by 声優グランプリ】

反田葉月「怖くても逃げ出せない場所がある。修行時代の経験が今の自分を支えくれています」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

反田葉月【声優図鑑 by 声優グランプリ】

キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。

今回登場するのは、『D4DJ』の桜田美夢役、『カードファイト!! ヴァンガード will+Dress』鹿足ヒマリ役などを演じる反田葉月さん。子どもの頃はダンサーに憧れ、地元・広島のスクールに通った経験が、現在の声優業にも生かされているとか。“木目”フェチという意外な一面についても教えてくれました!

反田葉月【声優図鑑 by 声優グランプリ】

反田葉月
たんだはづき●2月28日生まれ。広島県出身。プラチナムピクセル所属。主な出演作は、アニメ『D4DJ All Mix』(桜田美夢)、『カードファイト!! ヴァンガード will+Dress』(鹿足ヒマリ)ほか。

オフィシャルサイト:https://platinumpixel.co.jp/talent/tandahaduki
Twitter:https://twitter.com/tanda_hazuki?lang=ja
Instagram:https://www.instagram.com/tandahazuki_/

★反田さんの手書きプロフィール公開中!
https://ch.nicovideo.jp/seigura/blomaga/ar2165506

耐えて耐えて…のアクターズスクール時代

――最初にエンタメに興味を持ったのは「ダンス」だったそうですね。
小学3年の頃、お母さんとカラオケに行って、そこで見たBoAさんのミュージックビデオがかっこよくて。「私もステージに立ってみたい」ってお母さんに伝えました。もともと趣味も特技もないし、何をやっても続かないほうだったので、自分から何かをやりたいと伝えたのはダンスが初めてでした。

――それまでにも、いろいろと習い事をされていたのですか?
はい。バレエ、テニス、体操、スケート……と本当にいろいろ。でも、人前に出るのが嫌だし、目立ちたくなくて。その場から逃げ出しちゃって、お母さんに探されることもよくありました(笑)。お母さんもそれを知っているから、「1年間言い続けたら、ダンススクールに通ってもいいよ」と言ってくれて。小学4年になるまでの1年間は、いろんなアーティストのDVDとかを観ながら踊っていました。

――1年後、念願叶って通い始めたのが「アクターズスクール広島」なんですね。ここがまた、数多くのアイドルを輩出している有名な芸能スクールで。
私は全然知らなかったんですけど、私が本気なことを知ったお母さんが、ちゃんとしたスクールに通わせようとしてくれたみたいです。小学4年生から中学3年生まで、5年間通いました。ダンスではなぜか人前に出るのが嫌っていう気持ちが全然なくて。パッと覚醒したというか、やってみたい気持ちのほうが強すぎて、気づいたら苦手意識を乗り越えちゃったみたいです。

反田葉月【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――アクターズスクールではどんなことを学びましたか?
歌やダンスはもちろん、忍耐力を鍛えられました。スクール内オーディションに受かると発表会に多く出られるんですけど、最初の2年半ぐらい、1つも合格できなくて。私よりも後から入ってすぐに受かっている子もいたのですが……。歌が苦手で、でも何かしら個性を出さないといけないから、誰よりも大きく踊ろうとしたり、とにかくがむしゃらでした。「うまければセンター、うまくなければ端っこ」って格差がはっきりしているので、なんとか頑張り続けました。

――自分でもがむしゃらだった自覚があるんですね。
めちゃくちゃありますね。実力勝負だし、本当に頑張らないと前に出られない世界なので。一度、30人くらいのクラスでセンターをやらせてもらったんですけど、「崩れてる!」って言われて。全体のバランスが崩れてるってことは、センターが崩れてるってことなんですよ。

――ギクリとしそうです。
はい。改めてセンターというポジションの大事さに気づきました。全体を背負っているという意識を持って、0.1秒も気を抜かずにやらないと、と気が引き締まりました。

反田葉月【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――なかなかできない経験だと思います。この頃、原宿に遊びに行ってスカウトされた経験もあるとか。
スクールの友だちと人生2回目の東京旅行に行って、中学生だから竹下通りに憧れて、3泊4日のうち、1日はディズニーで、ほかの日は全部竹下通り。どこにどのお店があるのか言えるくらい通い詰めました(笑)。行く度に、今の事務所の方が声をかけてくださって。

――その出来事が、高校入学と同時に上京することに繋がったんですね。
東京のほうが仕事はあるし、オーディションも受けやすいと事務所の方から聞いて、お母さんと一緒に上京しました。東京に知り合いもいないし、当時は反抗期でお母さんと喧嘩ばっかりしてたんですけど、お母さんも私の本気さに気づいて、不安だけどやるしかない、と思ってくれたようで。最近はやっと親子でそういう話ができるようになりました。

「いいね」って言ってくれていたお父さんも、私が家を出る時は涙を拭っていて、お父さんの涙を見たのは初めてでした。おばあちゃんっ子だったので、おばあちゃんも寂しがってましたけど、成功した姿を家族に見せたいという気持ちも強くて、夢を叶えるために家を飛び出してきました。

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アフレコでは毎回汗だくでした

――感動的なドラマがあったんですね…。上京してから、どんなオーディションを受けていたんですか?
ダンスと歌のほかにお芝居にも興味があったので、幅広く受けていました。

――2020年に『D4DJ』で桜田美夢役を射止めたのも、当時受けていたオーディションの一つ?
はい。上京してからアイドル活動もさせていただいたのですが、解散してしまい……。どうしようかと思った時に見つけたのが『D4DJ』のオーディションでした。同じ事務所の先輩の根岸愛さんも出演されているから親近感があって。声優業っていうのがまだ自分ではピンときてなかったんですけど、ライブが本格的だし、アニメから飛び出したようなすごい世界観に衝撃を受けて、かっこいい! と思って挑戦しました。

――華やかなアイドル活動もありながら、アフレコ収録というお芝居もあって。声のお芝居を初めて経験した時はどうでしたか?
オーディションの時に「厳しい戦いだな」と気づきました。好きなキャラクターがいて、小さい頃から声真似してきて……っていう子がたくさんいたので。私は顔の作り方や動き方しか考えていなかったから、「これは無理だな」と。

実際のアフレコは、やっぱりめちゃくちゃ難しいですね。映像出演とは全然違うし、息で演じるようなお芝居もあって、大変でした。でも付いていかなきゃいけないから、監督から言われたことを消化して、演じて。焦りもあるし、もう毎回汗だくでした。

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――桜田美夢はLyrical Lilyのセンターですね。
メンバーが一緒にいてくれたら安心できるんですけど、センターが単独で動くような現場もあって。いまだに慣れませんね。小さい頃の逃げ出したい気持ちを思い出しちゃって。でも逃げ出すわけにはいかないし、アクターズスクールでもセンターの大事さを学んできたので、「Lyrical Lilyをアピールできるのは私しかいない!」っていう気持ちで頑張っています。アクターズでの経験がなかったら、そんなことできていないし、きっとここにもいないだろうなと思います。

――出演作が増えてきている中、声優として大切にしていることは?
そのキャラクターに寄り添って、その子が生き生きとできる空気を作るのが一番だなって思います。自分が声を担当しているキャラクターのことは大好きだし、この子たちの可愛さや面白さ、ちょっとのんびりした一面とか、全部の顔を見せられるように意識しています。

――キャラクターをよく理解した上で、気持ちを作っているんですね。
そうですね。美夢ちゃんを演じる時は、顔が映らなくても、映像に出ている美夢ちゃんと同じ顔をして収録に挑んだり、ライブでは、ステージに出る前から頭の先から指先まで美夢ちゃんを意識したり。知識も経験もまだ少ないから、できることすべてを全力でキャラクターに注ぐことが、今の私にできることかな、と思います。

――ファンクラブイベントでは、ご自身のアイデアもたくさん取り入れているとか。
「葉月」の「月」には、「暗い場所も明るく照らせるように」っていう願いが込められていて、ファンクラブも明るい場所にしたいと思って、月をコンセプトにしています。今ちょうど1周年。年月を重ねるごとに楽しみを増やしていきたいから、入会期間が長いほど「月に少しずつ近づく」っていうステイタスを作りました。数字って格差が出ちゃうからあんまり好きじゃなくて。

――ファンの方とお会いする機会があると思いますが、“む〜に〜ず(ファンの愛称)さん”たちはどんな方が多いんでしょうか。
私、周りから「ちょっと、はーちゃん」って注意されるくらいファンの方に自分から近づいちゃうんですけど、それってたぶん、皆さんがいい人で安心できるからだと思います。どの現場に行っても「はーちゃんのファンはみんないい人だよね」と言われますし。初めての方も混ざって前夜祭をしたり、入会の順番とかは関係なく仲良くしてくれて。私にとっては寄り添ってくれるお星様とか、元気づけてくれる太陽みたいな感じです。

――これからファンクラブでしてみたいことは?
この前開催した女性限定、男性限定のイベントが面白くて、また限定イベントができたらいいな。今楽しいことを全部詰め込んで。可愛いことをするのが大好きなので、グッズは性別関係なく持てるような可愛いものにしているんです。だから、“可愛い”を詰め込んだイベントにも興味があります! “可愛い”に従順に生きていきたいです(笑)。

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ギターの“木目”フェチです

――ギターを何本も持っているそうですが、どんなギターがあるんですか?
私はアコギが好きなので、音がすごく好みのマーチンというブランドで揃えています。集めているギターには大体“木目”があって、私多分“木目”フェチなんですよ(笑)。木目を見ると、気持ちがいい! 楽器屋さんに行くと「運命だ」みたいな感じで、“木目”で決めています。

――“木目”フェチに出会ったのは初めてです(笑)。弾き語りイベントで使うギターは決まっているんですか?
19歳の誕生日に買ってもらった大事なアコギがあって、それをイベントでも使っています。ちょっと高くてどうしようと思ったんですけど、お父さんが「一生持っていられるものだから」と言ってくれて。何度もメンテナンスしながら、すり減るくらいまで大切に使っています。昨年の生誕祭でも弾き語りをしたし、次にやりたいのも弾き語りイベントです。

――そもそもギターはいつから始めたのですか?
小学6年生の時、楽しい遊び道具みたいなイメージで始めました。両親が若い頃からドラムをしていたので、音楽は身近にあったんですよ。でもドラムって一人では演奏できないから。私は一人っ子で友だちもいなかったし、人見知りだったから、一人でできるのはギターだなって(笑)。最初はお店の中で一番安いようなギターから始めて、それを弾き潰して……。ダンスのほかに、ギターもずっと続いているものの一つですね。

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――そんなギターがお部屋に何本もあって。存在感がありそうですね。
最近一人暮らしを始めたんですけど、あんまり物がなくて。テレビ、テレビ台、テレビ台の上に美夢ちゃんとか、自分が演じているキャラクターのアクスタなどのグッズ、机、ソファーなど、それくらいです。好きな物がポンポンポン、と置いてあります。欲しい物は欲しいし、迷ったら買わないし。はっきりタイプですね。

――可愛らしいものに囲まれているのかと思っていました。
家は全然そんなことなくて。ただ、家具は木材で揃えています。やっぱり“木目”は気になるので(笑)。洋服が大好きなので、クローゼットがあふれていますね。ファンクラブには女の子も多いので、いつかファンクラブでフリマをやりたいなと思って、取ってあるんですけど。

――最後に、これから声優としてやり遂げたいことを教えてもらえますか?
演じているキャラクターのことが、とても愛おしくて。その子たちに寄り添えるようにもっと勉強したいことがたくさんあります。愛おしい存在も、これからたくさん増やしていけたらいいなと思います!

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【声優図鑑】橘杏咲さんのコメント動画

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

撮影=石田潤、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」

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