大渕野々花「自分を好意的に見てくれる人だけではない可能性のある場所にドンと突き出されたい」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。

今回は、5月22日にシングル『朱く染めて心臓』でデビューする声優の大渕野々花さんにインタビュー。タイプの異なる楽曲や自分の好きなものがたくさん詰まっているというシングルのこだわりや、音楽を好きになったきっかけなどを、素直な言葉で語ってくれました。

 

大渕野々花
おおぶちののか●e-stone music所属。2022年開催のフライングドッグ主催オーディション『犬コン!』で特別賞を受賞。翌年より声優・歌手としての活動をスタート。主な出演作はゲーム『Project:;COLD 2.0 ALTÆR CARNIVAL』(花崎薫)、舞台『リコリス・リコイル』 (クルミ)ほか。2024年4月放送のTVアニメ『怪異と乙女と神隠し』のエンディング主題歌となるシングル「朱く染めて心臓」でアーティストデビューをはたす。

オフィシャルサイト:https://e-stonemusic.com/nonoka
デビューシングル「朱く染めて心臓」特設サイト:
https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/nonoka/debut_single/
X:https://twitter.com/tiny_WildFlor
Instagram:https://www.instagram.com/tiny_wildflor/

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11歳から憧れたクリエイターとの貴重なレコーディング

――デビューシングル『朱く染めて心臓』に収録される新曲は全部で4曲。どれも趣きが異なりますが、大渕さんは曲選びから関わっていたんですか?

限定盤と通常盤の両方に収録された「夢.jpeg」に関しては、作詞作曲を担当してくださった小林私さんと制作前に一度ご挨拶を兼ねて打ち合わせをさせていただきました。私の好きな歌詞の傾向をヒアリングしていただいたうえで作ってくださったんですけど、仕上がった歌詞を見たら、私のお話したことを取り入れてくださっていて。ほかの3曲は曲が出来上がってから初めて聴いたのですが、最初に聴いたのがタイトル曲の「朱く染めて心臓」でした。

――TV アニメ『怪異と乙女と神隠し』のエンディング主題歌と聞いてどう感じましたか?

衝撃でした。エンディングを歌うこともそうですし、なにより、曲を制作してくださったNeruさんのことを11歳の頃から好きだったので。周りには一切話していなかったので、本当にたまたま。めぐり合わせで。

――11歳の頃……って、ずいぶんはっきりと覚えているんですね。

小学生の頃、ボカロ(ボーカロイド)にハマってニコニコ動画を見ていたんですけど、小学6年生の夏に「東京テディベア」という曲で、彗星の如く私の前に現れたのがNeruさんでした。ボカロ曲のランキングを毎日張り付くようにして見ていたので、そこでランクインした時に目に止まって。

――今回、Neruさんにお会いする機会はあったんですか?

はい。歌のレコーディングに1日付き添ってくださって、それはもう緊張しましたが、お顔を知らなかったので視覚的な緊張感はあまりなく過ごすことができました。でも、お話をして、ディレクションをいただいていくと、「たしかにNeruさんだ」と思える瞬間ばかりで。

――たとえば、どんなディレクションが?

レコーディング中はプロデューサーさんからNeruさんのリクエストもまとめて伝えていただいたのですが、歌詞の発音に悩んでいたとき、ここははっきり言うんじゃなくて〜といったような細かい音やニュアンスの指導をしてくださいました。Neruさんの曲も、ただ発音をソフトウェアに入れただけではない発音の仕方がいいなと思っていたので、そのこだわりを目の当たりに感じられて、本当に貴重な経験になりました。

――この楽曲は歌詞だけ見ると切実だけど、サウンドはわりとコミカルというか。

そうですね。曲の主人公は必死だけれども、個人的な解釈で言うと、イントロとアウトロの存在のおかげで、すごくコミカルに仕上がっているというか。イントロが終わったところから表紙を開き、アウトロが始まる前で裏表紙を閉じる…という物語のような印象を最初に抱きました。間奏部分のスカもポップだし、主人公が刹那的で必死だからこそ、
破滅的な恋の歌を滑稽に描いていて、そのシニカルさがNeruさんっぽいなと。

自分の名刺がわりになる1枚

――カップリングの3曲は、曲によって声色が変わる感じもあり、1曲ごとに異なる世界観がはっきりと感じられました。

曲ごとに気持ちを作るというよりも、音に引っ張られるところはありますね。演技もそうですけど、舞台にも出させてもらっているので、音楽に乗っている状態がすごく楽なんですよ。声色については、ディレクションをたくさんしていただくなかで、試行錯誤を重ねた末にできあがったもの。声の太さや、混ぜる息の量は細かく変えているかも……。

――声のイメージについて話をするなかで、特に腑に落ちた、というようなディレクションはありましたか?

「夢.jpeg」に関しては、唯一好きなように暴れてもいいっていう曲だったんです。かねてから小林さんのファンだったこともあって……自由な時間でしたね。
「朱く染めて心臓」は歌謡曲っぽい印象を強く感じていたので、最初はムーディーに歌ってしまったんですけど、少女らしさを加えたらすごく良くなって。

――ディレクションを受けながら、いろいろと新しい発見があったんですね。

自分の歌い癖は自覚できないところがあるので、「こっちをやってみてください」と言われたときに、私こんな歌い方だったんだ……と良くも悪くも気付かされますね。演技も発見の連続です。自分に向いていると思っていた役が、実はそうでもなかったり、それよりもっと合っている役があったりするので、自分で決めつけないことの大切さをいつも感じています。

――今回のシングル、ご自身ではどんなところが気に入っていますか?

名刺がわりになるシングルになったと感じています。手前味噌ですが、自分のいろんな側面を見せられる4曲になっていますし、アーティストビジュアルでは本に関わりのある場所で撮影していただいて。私自身、小さい頃から読書が大好きで、大学でも日本文学を専攻していたし、ずっと身近に本がある人生だったので、今までの自分を振り返っても、自己紹介がわりになる1枚だなって。

――たしかに、大きな本棚のある場所で撮影されていますね。

フォトブックの衣装はすべて私物で、自分でコーディネートを組みました。デビュー衣装はもともと大好きだった田中大資さんという刺繍作家さんが担当してくださって。私の好きなものがたくさん詰まっています。

本は私にとって食事のようなものでした

――本がずっと好きだったということですが。たとえば、本に助けられていた、とか?

ある意味、そうですね。私にとっては本が食事のようなもので、当時の私から本を取り上げたら元気をなくしていたと思います。そろそろ寝なさいと言われても、ずっと読んでいたので。

――どんな本が好きだったんですか?

国内外問わず、近代文学とか古典とか……小学生時代だと、ファンタジー小説が多かったですね。図書館の司書の先生と仲良くなって、おすすめされた図書室にある本を片っ端から読み、挙げ句の果てには司書の先生の私物まで読ませてもらっていました(笑)。私にとっては当たり前の存在でしたけど、今思えば助けられていたのかもしれませんね。

――リリースのお話を聞きながら、言葉にこだわりがあるような気がしたので、本がお好きだと聞いて納得です。

なんで好きなんだろうって考えたことがあったんですけど、文字を目で追って読むのが好きなのかもしれません。小さい頃、成分表示みたいなものを全部読んでいて、読むっていう作業が好きだったし、没入感も好きでしたね。だから、寝る前に数時間かけて一気に読むことを毎日していました。

感情を表に出せる仕事に就けて良かった

――音楽にも小さい頃から触れてきたそうですね。

音楽一家に囲まれて……みたいなエピソードはないのですが、4歳のときにピアノを始めて、音楽は割と身近にずっとありました。でも、歌が好きだと自覚したのは子役事務所に入ってから。みんな好きだと思っていたから、自分が特別な感情を持っているとは思っていなくて。

――10代の頃は歌唱オーディション番組にも出演されていたそうで。

そうなんです。ここまで音楽を好きになったのは、15歳のときに出た『Sing!Sing!Sing!』という歌手オーディション番組がきっかけでした。生バンドで歌を披露できる贅沢な番組なんですよ。そこで錚々たるミュージシャンの方に演奏していただいて、ベースラインやギターのフレーズとか、いろんな音が聴き取れるようになって、音楽の楽しさを知りました。

――その中で、歌のお仕事や、表現をするお仕事への興味が湧いていった?

声を使った仕事がしたいというのは11歳から思い続けてました。歌手になりたいとは思ってなかったですね。まさか自分ができるわけないでしょ、好きだけど……と思っていたので。

――今は声優の仕事、歌の仕事を同時にされていて。

感情を用いる仕事ができて良かったと感じます。大学生のとき、2年間学生キャスターを務めさせていただいた経験がありまして、生活にダイレクトに役立つ職業ですし、アナウンサーになるための就職活動もしていたんですけど、報道では事件や事故のことを伝えるときに自分の感情を抑えなくてはいけないので、自分にとってはそれが難しくて。それに対して声優や歌のお仕事では、表現するために自分の感情を解放することが多いと思うので、そちらのほうが自分が本当にやりたいことだと気づいたんです。

――これから声優として叶えていきたいことはありますか?

声優としていろんな役柄に溶け込めるような存在になりたいのと、歌手活動が始まったので、フェスとか、いろんな人の目に晒される場に赴きたいと思っています。自分を好意的に見てくれる人だけではない可能性もある場所に、ドンと突き出されたい。私は自分で自分がよくわからないし、自分では気付けない自分像ってきっとたくさんあるから、自分を表現し続けるには、批評されることがあってこそかなと。

――その批評を取り入れる?

そうですね……取り入れるかはさておき、こういうふうに思う人がいるんだ、って知りたいですね(笑)。趣味かもしれないです、みんなの持論を聞くことが。私に対してだけではなくて、この世のいろんなことに対する、みんなの思うところを聞くのが好き。これからも、常に新しい場所に身を置けるように頑張っていきたいなと思います。

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

撮影=石田 潤、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」

大渕野々花さんコメント動画

インフォメーション

デビューシングル「朱く染めて心臓」


直筆サイン入り限定盤(CD+フォトブック)
2,750円(税込)

<収録曲>
01.朱く染めて心臓(作詞/作編曲:Neru)
02.夢.jpeg(作詞/作曲:小林私 編曲:sugarbeans)
03.終わらないストーリー(作詞/作編曲:イナツ)
04.朱く染めて心臓(Instrumental)
05.夢.jpeg(Instrumental)
06.終わらないストーリー(Instrumental)

<直筆サイン入り限定盤 特典>
大渕野々花本人が1冊1冊手書きした直筆サイン入りフォトブック「ののさんぽ」同梱


アニメ通常盤(CD)
1,430円(税込)

<収録曲>
01.朱く染めて心臓(作詞/作編曲:Neru)
02.夢.jpeg(作詞/作曲:小林私 編曲:sugarbeans)
03.一生分の星と逃げる(作詞/作曲:傘村トータ 編曲:堀江晶太)
04.朱く染めて心臓(TV Size ver.)
05.一生分の星と逃げる(Instrumental)

<アニメ通常盤 特典>
TVアニメ『怪異と乙女と神隠し』×大渕野々花 コラボイラストジャケット
©ぬじま・小学館/「怪異と乙女と神隠し」製作委員会

リリースイベント情報

●2024年5月22日(水)19:00~
内容: 「ミニライブ&私物サイン会」
会場: animate hall BLACK (アニメイト池袋本店 9F)
https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/-/News/A028551/12.html

●2024年5月25日(土) 14:00~
内容:1時間店長(「名刺」お渡し会)
【東京】AKIHABARAゲーマーズ本店 (5F店内スペース)
https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/-/News/A028551/13.html

●2024年5月25日(土) 17:00~
内容: 推し撮り会(チェキ撮影会)
【東京】アニメイト秋葉原1号館 (7Fイベントスペース)
https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/-/News/A028551/14.html

●2024年6月3日(月) 19:00~
内容: ミニライブ&特典「ポスター」お渡し会 ※ランダムで直筆サイン入り
【東京】タワーレコード新宿店(9Fイベントスペース)
★直筆サイン入り限定盤をお買い上げの方は、商品フォトブックにお名前をお入れします!
https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/-/News/A028551/15.html

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