キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。
今回登場するのは、『ウマ娘 プリティーダービー』のヒシミラクル役、『けものフレンズ3』のオランウータン役、『シャドウバースF』アイリ役などで活躍する春日さくらさん。小さい頃からアニメ関連の仕事への憧れ、一時は美大受験も目指していたという春日さんが声優としてデビューするまでにどのような道のりがあったのでしょうか。転機となった作品やお休み中の過ごし方など春日さんの素顔を知れるインタビュー!
春日さくら オフィシャルサイト:https://www.aoni.co.jp/search/kasuga-sakura.html ★春日さんの手書きプロフィール公開中! |
声優は「叶わない夢」というイメージがあった
――春日さんが声優という職業を意識し始めたのはいつ頃でしたか?
もともとアニメが大好きで、アニメ関係の仕事がしたかったのでずっと絵の勉強をしていたんですよ。高校でも絵を学ぶ学校に通っていて美大受験をしようと思っていたんですけど、あまりにも大変で嫌になってしまった時期があって。そこで将来について考えている時に、仲が良い友達が声優を目指していて、確かに声優になれば大好きなアニメに関われるんじゃないかと思って声優を目指しました。
――それ以前は声優になりたいという思いはなかったんですか?
もちろん憧れはあったんですけど、私の中で声優はプロスポーツ選手とかみたいに、実現できる夢としては考えられてなかったです。
――当時はあまり現実的には考えられてなかったんですね。憧れの声優さんとか好きな作品はありましたか?
世代ではないんですけど、『コードギアス 反逆のルルーシュ』とか『エヴァンゲリオン』が大好きでした。あとは『ワンピース』でルフィを演じられている田中真弓さんへの憧れはすごくありましたね。
――そこから声優を目指し始めるんですね。
田中さんが青二プロダクションに所属されているのを知って、青二塾に入って、青二プロダクションへの所属を目指して頑張っていました。
――声優を目指すにあたって不安とかはなかったですか?
不安はなかったです。私は本当に好きなこと以外は頑張れない性格で……(笑)。じっとしているのが苦手で事務とかの仕事はできそうにないなという確信があったので、声優なら大好きなお芝居に関われますし、その中で起こる大変なことや厳しいことなら絶対に乗り越えられるだろうと前向きな気持ちのほうが強かったです。
――実際に青二塾に入っていかがでしたか?
知っている方も多いと思うんですけど、青二塾って厳しいんですよ。私はまったく社会経験がなかったので、青二塾で根性を叩き直していただきましたね。青二塾に通わずにいきなり声優になっていたら今ごろ大変だっただろうなと思います。
――ついていくのは大変ではなかったですか?
大変でしたね。私は運動神経が悪いので、ダンスの授業で行われる筋トレについていけなくて明日行きたくないなと思うことはありました。でも、私は嫌なことは寝たら忘れちゃうタイプなんですよ。周りには落ち込んでしまう子も結構いたんですけど、私は性格が楽観的なので、なんとかなるだろうと思っていました。
――ポジティブな性格が声優活動に活かされた場面はありますか?
声優として活動しているとオーディションに落ちる回数も多いので、オーディションを受けるたびに切り替えられるのはいいところかなと思いますね。
転機となったのは『ウマ娘 プリティーダービー』のヒシミラクル役
――声優としてデビューしてから初めてのお仕事は覚えていますか?
仮ナレーションをやらせていただいたんですけど、その現場がすごく優しい空間だったことを覚えています。セリフはひと言しかなかったんですけど、初めてのお仕事だったのでめちゃくちゃ緊張してしまって1回目の時はあまりうまくできなかったのですが、2回目に呼んでくださった時にマネージャーさん伝いで制作の方から「成長したね」と言っていただけて、自信につながりました。
――春日さんはこれまで様々な作品やイベントにも出演されていますが、声優としての活動を通して成長を感じられている部分はありますか?
最初は顔出しでトークする現場があると、緊張して固くなっちゃうことが多かったんですよ。人前に立つのが苦手というよりも、話す相手が先輩方ばかりで萎縮してしまっていたんです。でも、意識を変えて、先輩と話しているんじゃなくて、共演相手として向き合うようになってから話せるようになりました。今も緊張はするんですけど、周りを見ながら話せるようになったので大きな成長かなと思います。やっぱり私たちが楽しんでいた方がお客さんも楽しんでいただけると思うので、私自身も楽しみつつ、お客さんにも楽しんでもらうことを意識しています。
――春日さんはこれまでいろんな作品に出演されていますが、声優人生の転機となった作品はありますか?
やっぱり『ウマ娘 プリティーダービー』にヒシミラクル役で出演したことですね。合格の連絡をいただいたとき、私、バイト先にいたんですよ。事務所から電話がかかってきて、店長に「ちょっと電話に出てもいいですか」って言って出たら合格って。あまりにも嬉しくて泣いちゃったんです。バイト先に泣きながら戻ったら、店長さんがマネージャーに怒られたと思っていたらしくて驚かれました。それまでオーディションで受かったことがなくて、名前がある役をいただいたのがヒシミラクルが初めてだったので、これまでオーディションを受けていても心のどこかで「受からないだろうな」という気持ちが心の片隅にあったんですけど、初めて合格できたという実績ができて自信がつきました。気持ちが切り替わったという意味では『ウマ娘 プリティーダービー』は大きかったですね。
――『ウマ娘 プリティーダービー』に出演されてから反響も大きかったのではないでしょうか?
そのタイミングで初めてXのアカウントを作ったんですけど、ウマ娘のファンの方にたくさんフォローをしていただいて作品の力の大きさを感じましたね。ファンの方から「ヒシミラクル好きです」と言う声も多くてすごく嬉しいです。
将来的に大人の女性も演じたい
――ここからは春日さんのプライベートについても聞かせてください。今回、取材させていただくにあたって改めてプロフィールを拝見したのですが、春日さんは多趣味な方ですよね。
たくさん趣味はあるんですけど、特に本を読んだり、絵を描いたり、音楽を聴いたりすることが好きです。なかでも小学校の頃からSEKAI NO OWARIさんが大好きで、ライブも各地に行ったりしていました。あと実は……お酒も大好きなんです(笑)。
――お酒がお好きとは意外でした。春日さんといえばSNSでもイラストをよく投稿されていますが、Xでは春日さんが描かれたアグネスタキオンのイラストに対して、CVの上坂すみれさんが反応していましたよね。
そうなんですよ! 見ていただけて嬉しかったです。アグネスタキオンはずっと推しだったので、新衣装が出たタイミングで描いたんですけど、まさかLINEをもらえるとは思っていなくてすごいびっくりました。こうやって反応していただけるのはありがたいですね。
――絵はいつから学ばれているんですか?
高校が美術系だったんです。入学するために中学の終わりから画塾に入っていました。しっかり学んだのは中学生になってからなんですけど、小さい頃から趣味で絵はたくさん描いていました。
――休日の過ごし方はやはり絵を描いたりすることが多いですか?
絵を描いたり、本を読んだり、溜まっているアニメを見たり……。でも大半は寝ていますね(笑)。でも、思い立ったらすぐ行動に移すタイプなので、何も考えずにいきなり1人旅行とかはよくします。例えば休みに渋谷に行こうとかは絶対にならないんですけど、少しでも連続して休みがあったら静岡のような関東から気軽に行ける場所によく行きます。
――意外とアクティブなんですね。では声優さん同士で仲がいい方はいますか?
同期だと『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』に出演している花宮初奈さんとは声優になって1、2年目の頃からすごく仲良くて、お家遊びに行ったりもしました。1個上だと天希かのんさんとは仲良くさせていただいています。この前もかのんさんのお家にお邪魔してお母さんの手料理をいただきました!美味しかったです!
――これからどんな声優を目指していきたいかを教えてください。
心に響くお芝居ができる声優さんになりたいという思いはずっとあります。今は可愛いキャラクターとかアイドルっぽい感じのキャラクターを演じさせていただくことが多いんですけど、将来的に大人の女性を演じられるようになりたくて。今はまだ程遠いんですけど、重厚なお芝居ができるような声優さんになりたいなと思いつつ、誰かの心に届くようなお芝居ができるようになりたいです。
――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします!
まだ私のことを知らない方もたくさんいらっしゃると思うので、こうやって見ていただける機会があるのはすごくありがたいことだなと思っています。これから「この人の名前、この前の声優図鑑で見たな」と思っていただけるように、たくさんお仕事を頑張って、いろんな作品に出たいなと思っているので、応援よろしくお願いします!
【声優図鑑】春日さくらさんのコメント動画
次回の「声優図鑑」をお楽しみに!
撮影=石田潤、取材・文=川崎龍也、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」