このコラムでは畠中さんのお仕事や好きなもの、感銘を受けた作品などについて語っていきます。
今回選んだ作品は小説『雨の日には車をみがいて』。 最近僕は車に興味があります。なんかちょっと時間ができたら調べちゃうくらいになりました。車の番組企画で、今、VARTと呼ばれる声優レーシングチームに参加しているのですが、それに参加する前は正直、本当に車に興味がなかったのです。 だって、維持費や税金だって高いし、そこにガソリン代、駐車場代までかかってくるんですよ。「なんだお金のことかよ」と思った人もいるかもしれないですが、いやいや、不安定な役者の職業なので、固定費が高いのはやはり気になるところなのですよ。そして、東京は地上にも地下にも線路が張り巡らされていて、電車でどこへでも行けます。バスだって走ってますし、自分で車を持つ必要性が感じられなかったのがいちばんの原因でした。 なのに、なのにですよ。トヨタの86(VART2号)に免許を取って初めて乗ったとき、僕の胸はときめきましたね。もちろん、出発時や、交差点のど真ん中などで、エンストして止まるし、真っすぐ走れないしで大変でしたが、それでも、運転する時のあの楽しさを存分に感じることができました。そうか、便利だ便利じゃないとかそういうことじゃなくて、車には「ロマン」のようなものが詰まっているのだなと、そのとき初めて思いました。
今回紹介する作品は小説です。いつもみたいに映画じゃないのですが、僕が車に興味を持ちはじめて読んでみて、本当に胸が高鳴ったので紹介させてください! あらすじをざっと説明しますと、1960年代から1980年代にかけて、主人公が出会ってきた車と、そのタイミングで出会った女性との、青春を描いた物語です。 正直、今の時代にもうこの感覚はないかもしれないですね。その時は車に乗るのが当たり前で、若い男性はこぞって車を欲しがる時代。そして女性はそんな男性の車に乗ってデートに出かける時代。女性にモテたいからって車を買ってる人もいたくらいらしいですからね。
作中には、名クラシックカーと呼ばれる車たちが登場します。ポルシェ、ボルボ、アルファロメオ、メルセデスなどなど、数々の名車たちです。最初は本当に車がわからなかったのですが、これがわかってくると本当に面白い。車のスペックとかもネットで調べながら、この小説にどっぷりハマっていきました。何よりも、もう古くなったこの車たちを、主人公は登場してくる数々の女性と同じように、いやそれ以上に愛します。その愛しっぷりが素敵といいますか、ものすごい情熱を感じるのです。ここに出てくる車たちは決して便利ではありません。故障するし、じゃじゃ馬だし、乗り心地だって今の車たちと比べると悪いでしょう。それでも、もうその欠点すらもすべて愛していくそんな主人公に「ああ、この車たちもきっと幸せだったろうな」と、感動を覚えました。恋愛はほろ苦く切ない、車との別れもすごく切ない、でも、愛あふれる主人公の気持ちよさに、爽やかな青春の香りを感じます。 僕も、もし自分の車を持ったときは、この作品のいちばん最初に出てくるシムカ1000のような、欠点もいっぱいあるのに、その癖も全部含めてとことんかわいい、扱いにくいけど個性のある最高の一台に巡り会いたいものです。この主人公のように、いろんな物語を、車と一緒に作っていきたいですね。 |
次回の「畠中祐のゆっくりすくすく」は、9月26日(土)に更新予定! お楽しみに!
畠中さんに質問!
Q:今年もらった誕生日プレゼントの中で、印象的な物は何かありますか?(兵庫県・とろろこんぶ)
とろろこんぶさん!質問ありがとうございます!!!
スタッフさんからいただいた、大量のカルバンクラインのパンツです!! すべてド派手な柄でした! 衣装に着替える時とかちょっと恥ずかしいくらい派手な柄でした!(ブラジルの国旗みたいな柄のパンツとか)最高に着心地いいです!! ありがとうございます!!
畠中祐が今、答えます!!!
畠中さんが動画でも質問にお答えしていきます。
今回のお便りのテーマは「畠中祐があなたのお願いを叶えます!」
次回のお便りのテーマは「あなたの理想の老後を教えてください!」です。9月21日は敬老の日! 将来こんな風に過ごしたいな……や、将来こんなおじいちゃん・おばあちゃんになりたい!など皆さんの理想の老後を教えてください。 たくさんのおたよりをお待ちしております!
畠中さんへの質問&お便りを大募集!
はたなかたすく
8月17日生まれ。神奈川県出身。賢プロダクション所属。主な出演作はアニメ『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』(永見祐)、『バジリスク ~桜花忍法帖~』(甲賀八郎)、『ダイヤのA ActⅡ』(浅田浩文)、『うしおととら』(蒼月潮)、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(香賀美タイガ)ほか。