キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。
今回は『ウタヒメドリーム』の桜木舞華役、『ひみつのアイプリ』の二階堂タマキ役などを演じる鈴木杏奈さんにインタビュー。3月にオリジナル曲がリリースされたばかりの『ウタヒメドリーム』の話を中心に、テレビ番組に出演していた子供時代のこと、大好きなフィギュアのことなどについて語ってくれました。
鈴木杏奈 オフィシャルサイト:https://avex.jp/suzukianna/ ★鈴木さんの手書きプロフィール公開中! |
“新人感”を封印してアニソン女王に
――『ウタヒメドリーム』では絶対的女王アニソンのウタヒメ桜木舞華役として、数々の神曲をカバーしてきましたね。
プロデューサーさんから「この曲を女王に歌ってほしい」と曲を渡されるんですが、私もアニソンが好きなので、ほとんど知っている曲なんです。大好きな水樹奈々さんの曲もありましたし、「この曲をカバーしてもいいんですか!?」とうれしくなることが多くて。舞華ちゃんは作品の中でも強キャラなので、歌声に女王の貫禄を出せるように意識しました。私自身の新人感が出ないように…。
――新人感(笑)。たしかに力強い歌声だと思います。
最初に歌った『烈槍・ガングニール』のリリックビデオでは、背景に炎が描かれているくらいで…。炎の中で歌うなら力強くしないと、と。ビブラートの幅を広めにすることも心掛けています。そのほうが落ち着き感が出るかなと思って。小学1年から6年まで演歌を習っていたので、太いビブラートのほうが歌いやすいんです。アニソンでは演歌っぽさをあまり出さないように気をつけていましたけど、今まで培ってきたものを出せてうれしかったです。
――演歌には独特の歌い方がありますよね。
アニソンってアップテンポな曲が多いので、歌い始めた頃は大変でした。リズムをためたり、無意識にコブシが入ったりして。今はずいぶん慣れましたけど、アニソンを歌い始めた中学生の頃は、アニソンを歌っても演歌っぽいって言われて、でも自分の中ではそれがわからなくて悩みました。今でも、歌の先生にそれを話すと「演歌を歌っていた人の声の出し方だよね」って言われます。
――これまでは神曲カバーでしたが、3月13日にはオリジナルの新曲「Haze」をリリース。昨年11月の『ウタヒメドリーム 1stライブ』で初披露したときの反応はどうでしたか?
すごかったです! トップバッターで歌ったんですけど、誰が何を歌うのかは完全にサプライズ。幕が開けると、赤いペンライトを振りながら泣いたり喜んだりしている皆さんの姿が見えて…。この曲は『第1回神曲カバーGP』で1位を獲得した特典だったので、応援してくれた皆さんのおかげです。
――大勢で競って勝ち抜くには緊張やプレッシャーが伴うと思いますが、その先に目標があるのは大きいですよね。
『ウタヒメドリーム』のメンバーは仲がいいので、みんながライバルなのは心苦しい気持ちもありますけど、私はやっぱり舞華ちゃんが大好きなので、勝ってほしいという想いで私自身も応援してきました。どの歌姫の歌もすごくいいので、結果がどうなっていても楽しめていたと思います。
――鈴木さんも自身のキャラクターを応援していたんですね。
私、自分が演じるキャラクターのファンになっちゃうんです。舞華ちゃんの好きなところは、クールビューティなビジュアルと、自分で言うのもなんですが、歌。アニソンが好きなので、好きな曲を推しが歌っているみたいな感覚です。
舞華ちゃんのおかげでレベルアップしています
――7月スタートのTVアニメ『俺は全てを【パリイ】する』の主題歌も担当されるそうで、OP曲の「AMBITION」はどんな楽曲ですか?
ダーク寄りの「Haze」に比べて、「AMBITION」は“光”という感じの曲。明るくて、かっこよさもあって、ライブで歌ったら盛り上がると思います。明るい楽曲なので、元気っぽさも入れました。ただ、舞華ちゃんが歌う曲はだいたい難しくて…(笑)。舞華ちゃんなら歌いこなせると思うので、頑張りました。舞華ちゃんのおかげで私もレベルアップできている気がします。
――なるほど。同アニメのED曲となるのが、ウタヒメドリーム オールスターズで歌う「ノーギフテッド」。
『ウタヒメドリーム』という曲を以前7人で歌っていて、それは昭和・平成・令和をごちゃ混ぜにしたようなレトロ感のある楽曲でしたけど、「ノーギフテッド」は令和のアニソンという感じ。ほかのみんなと「ここは誰々の声じゃない?」とか言い合いながら聴いていました(笑)。
――6月9日には2ndライブがありますし、お披露目の場は近そうですね。2ndライブではどんなパフォーマンスを目指したいですか?
1stライブは『ウタヒメドリーム』のライブ自体が初めてだったし、桜木舞華としてお客様の前に立つのが初めて。女王として歌わないと…って肩の力が入っていたと思うんです。でも舞華ちゃんはきっと心に余裕のある女王だと思うので、肩の力を抜いて、私が女王っていう強い気持ちで歌いたいと思います。
番組スタッフさんに歌いたいアニソンをプレゼン
――鈴木さんは小さい頃から歌謡教室に通い、9歳の頃にTV番組『THEカラオケ★バトル』に初出場したそうですね。
小学生の頃から演歌を習っていて、私が歌っている動画を親がYouTubeに上げていたんですけど、それを『THEカラオケ★バトル』のスタッフさんが見つけてくださって。中学に入ったら番組出演が多くなったので、学校終わりは部活に行かずにカラオケで点数を取るための練習をする日々でした。
――TV番組に出演するのはどんな気持ちでしたか?
大好きなカバー曲を歌えるのはうれしかったですね。いつもスタッフさんに自分で歌いたいアニソンをプレゼンしていたんですよ。この曲はどんなアニメのタイアップで、どうしても歌いたいです!ってお話しして。ダメって言われても、「じゃあ点数で何とかします」と言って100点を出して、これでどうですかって。推して推して、歌わせてもらってました。
――すごい…。たしかな実力ですし、好きな気持ちがあふれていたんですね。
将来アニソンを歌いたいっていう気持ちがあったし、アニソン好きの人にも聴いてほしかったので、1回1回を無駄にしたくなくて。今こうやって声優アーティストとして活動していると、「鈴木さんはコアなアニソンばっかり歌っていたよね」みたいに声をかけられることが増えて、歌っててよかったな〜と思います。番組から応援してくださって、私が声優になって喜んでくれた方もいます。
――2019年に『IDOL舞SHOW』の百合ヶ丘みさき役で声優デビューしていますが、声優にはどんなイメージを持っていましたか?
最初は歌手ではなく声優になりたかったんです。まだ事務所に所属していない頃、自主的に演技レッスンやボイトレに通っていた時期があって、その時の先生から「声優より歌手が向いてるのかも」と言われたこともあって、歌を頑張っていました。でも事務所に入ってから「声優に挑戦してみませんか」と言われて、うれしかったのと同時に「多分才能ないけど大丈夫かな」と不安に…。自信はなかったですが、今は演じるのが好きだって気づくことができたし、声優のお仕事を楽しんでいます。しかも、本当に自分の演じるキャラクターを好きになっちゃうんです。
――4月からスタートしたTVアニメ『ひみつのアイプリ』では二階堂タマキ役を演じていますし、タマキちゃんのことも好きになっているのでは?
大好きです! 話数が進むにつれて出番が増えていくので、早くグッズが出ないかなって(笑)。まずはアクスタが欲しいです。もともとフィギュアのオタクで、部屋の壁一面に250体くらい美少女のフィギュアが並んでいるんですけど、この前はついに机を捨てて棚を買い足しました。それがフィギュア棚になっていて、自分が演じるキャラのコーナーもあります。
――いつからフィギュアを集めているんですか?
小学6年生くらいです。スーパーで売っているガムについている小さなフィギュアから始まって、その後は、ゲーマーのお母さんがUFOキャッチャーでポンポン取ってくれて。年齢を重ねるごとにフィギュアも進化して、ちょっと大きめのものとか、付属品がついたフィギュアとか、いろいろ増えています。
――ちなみに、最初にハマったキャラクターは?
『ONE PIECE』のペローナちゃんです。ツインテールの髪が風になびいているのがかわいいんですよね。ショートカットのかわいい子も集めていますが、髪の毛が長いとヘアアレンジができるので。ほかにもいろんな子がいて、フワッとジャンプした瞬間を切り取ったような子とか…。スカートのほうが立体的に見えるし、女の子のフィギュアが好きですね。
――子供の頃からの夢を叶えて声優になり、アニソンを歌うこともできていて。次に叶えたい目標はありますか?
いろんな作品に出たいってずっと思っています。声がクール寄りなので、桜木舞香ちゃんもそうですけど、今までに演じたキャラクターは落ち着いた子が多くて。かわいいキャラクターも演じられるように、もっと演技の幅を広げていきたいです。
撮影=石田潤、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」