白石稔

『らき☆すた』と『涼宮ハルヒ』がなかったら、実家に帰っていたという白石稔さん。やっぱり声優の神は頑張る者を見捨てない!?

プロフィール

しらいしみのる●10月18日生まれ。ガジェットリンク所属。主な出演作品は、『涼宮ハルヒシリーズ』(谷口、ミドリさん)、『らき☆すた』(白石みのる)、『喰霊―零―』(桜庭一騎)、『のらみみ』(半田トシオ)他多数。

vol.1 声だけで相手に伝えるってとても難しい。けれど、その難しさがやりがいにつながります。

声優になりたいと思ったきっかけは?

子供の頃から、大のテレビっ子で、アニメに関わる仕事につきたいと思っていました。声優という仕事を意識したきっかけは『魔神英雄伝ワタル』というアニメで、見ていてすごくワクワクして、感動したんです。こんなにワクワクすることがあるんだったら自分もやってみたいと思いました。
それから、高校に入らずにそのまま声優への道を進もうと思ったのですが、さすがに親に止められて。「高校を出ないと、養成所に行くお金を出さない」と言われ、高校に進学しました(笑)。高校では、ずっと演劇部に所属して表現の勉強をしていましたね。高校卒業したら、声優学校に入って、事務所に所属させていただきました。

声優デビューはいつですか。

初めてアフレコをやったのは、教育ビデオの宅配員の役で2~3言くらいしかセリフがなかったんですが、とにかく緊張して、あまり覚えていないです(笑)。その後、初めてレギュラーをいただいたのは『D・N・ANGEL』という作品で、主人公の友人役だったのですが、いろいろ初めての経験が多い状況だったので、いろんな人に迷惑をかけてしまいました。口パクも合わないし、それを指摘されてもすでに作りこんじゃっているから応用が効かないし。泣きながら家に帰っていました。でも先輩たちがいろいろ教えてくれて、本当に助けられましたね。

声優になるために、どんな勉強をされましたか?

芝居がうまくなることを目標にしてきました。なので、表現力を磨くためにジャズダンスとかいろんな習い事をやったり、人間観察をしたり。
あとは、アニメ見ています(笑)。アニメ自体を好きなこともあるのですが、声優の芝居はもちろん、今回の絵は誰々さんで、この回の脚本はきっと誰々さんとか、細かいところを意識してみると見方が変わりますね。芝居を勉強するという点では、映画も良い教材だと思います。僕は月に7~8本は借りてみるようにしています。古典映画、僕が見たい映画、俗にいうB級映画をバランスよく借りてそれぞれの違いなんかを感じられるように意識しています。それは今も続けています。

声優の仕事の魅力はどこにありますか?

アニメーションは飛べたり、色んなものが出たり、現実ではできないことが体験できることがすごいと思います。また、声は自分なのに、写っているキャラクターは全然違う人・モノなので本当に可能性が広まりますよね。声だけで相手に伝えるのって実はとても難しくて、体とか目線とか他の部分に頼れないので、その難しさはやりがいにつながりますし、魅力的だと思います。

仕事をする上で心がけていることは?

自分の中で決めすぎない、作りこみ過ぎないようにというのはいつも心がけています。現場での共演者との掛け合いや、プロデューサーの要望にすぐに対応できるようにはしています。そして、できるだけリラックスして現場に臨んでいます。

(取材:2010年)

vol.2 声優は、自分が受けた感動を、今度は誰かに与えることができる、そんな夢が詰まった職業です。

これまでの中で、印象的な役は?

やはり、『らき☆すた』の白石みのる役と『涼宮ハルヒの憂鬱』の谷口役ですね。この二つは本当に僕の分岐点でした。
特に白石みのる役は、絵も全て「本人役」という滅多にできない貴重な経験をさせていただきました。
実は、これがダメならもう実家に帰ろうと思っていたんです。だから悔いを残したくなかった。これまでの全てを出し切ってやろうって。それが良かったのかもしれないですね。
谷口役もどんどんと盛り上がって、愛されるキャラになっていって、すごく嬉しいです。やっているときはそんなでもなくて、あの「WAWAWA忘れ物~♪」も現場ではヤヤウケだったんですよ。だから谷口がネットで盛り上がっているのを、後から知ってびっくりしました。家にパソコンなかったので、マンガ喫茶とかで見てみて「えっ、こんなことになっていたんだ」って。
今となっては、この二人が僕の一番のライバルですね(笑)。

声優になってよかったと思うことは?

自分の好きなことで生きていけている、創っていける、ということです。自分は子供の頃からアニメが大好きでアニメを見て育ってきましたが、今は僕と同じような人たちにアニメを届けることができる、夢を届けることができる。これってすごく嬉しいですね。ただ、たまに「白石さんみたいな声優さんになりたい」っていってくれる方がいるんですが、「やめといたほうがいいよ」ってつい言ってしまいます(笑)。でも、やっぱり有り難いし、嬉しい。僕は、ここまでの道のりに多くの先輩方にたくさんのことを教えてもらいました。これからは、これを見ている方々に、少しでも何かを届けることができればいいですね。

現場での失敗談を教えてください。

デビュー当時、緊張するとのどが渇くので、水をたくさん飲みまして。そうすると、結局トイレが近くなって、収録のときの休憩時間毎にトイレに駆け込んでいたんです。「白石さんのトイレ待ちで~す」なんて言われたりもして(笑)。皆さんに迷惑をかけたし、恥ずかしい思いもしました。なので、今は自分の腎臓と相談しつつ、水分をとるようにしています。

今後の目標は何ですか?

最近は、声優以外の仕事もやらせていただいているのですが、これからもいろんなことをやれる機会があるのであれば、やらせていただきたい、と思っています。やっぱり自分は声優なので、舞台だったり顔出しだったり、といったところで学んだことを、声優というホームグラウンドに還元していくことができたら、と思っています。表現する方法が違っていても根底にあるのはやはり「表現力」なので、いろんなことにこだわりを持ちすぎないように、広く勉強して、どんどんレベルアップしていきたいです。そして、今よりもっといい芝居ができるようになりたいですね。

最後に声優になりたい人に向けてメッセージをお願いします。

何が芝居につながるかわからないので、とりあえず何でも勉強した方がいいと思います。若いうちからスタートすることが必ずしもいいことではないですし、年取ってからでもチャンスはあるし、食わず嫌いをせずにさまざまなことに関わってみてください。声優という職業は、自分が受けた感動を、今度は自分が届けられる、人を感動させる職業だと思っています。僕は結果が出るまで20代の半分以上を費やしました。結果がついてくるまで本当につらいと思いますが、くじけず、続けてみてください。弱肉強食のキビシイ世界ですが、趣味を仕事に変えていく、この楽しさを是非感じてください。

(取材:2010年)

白石稔が出演しています!キャラクター

『らき☆すた』プレゼンツ、「らっきー☆れーさー」4月から放送スタート
BS11で4/2(金)24:00から放送中のTVアニメ『生徒会の一存』の番組内及び、ユーチューブ上の角川アニメチャンネルにて毎週放送予定。(角川アニメチャンネルでは4/3(土)22:00から毎週配信予定)